恵里「おはよう。」
恵文「はい おはよう。」
恵里「おばぁ おはよう。」
ハナ「おはよう。」
恵里「あ ポーク卵だ。 あれ 恵達 ポーク 食べんわけ?」
恵達「あ~ なんで~ 姉え姉え。 最後に食べようと思ったのに。」
恵里「あ そうね? ごめんごめん。」
恵達「何で~ あ~あ。 ポーク卵が ただの卵になったぁ。」
恵里「グジュグジュしない。 だから 低学年は 嫌いなわけさ。 子供だねえ いつまでたっても。」
恵達「自分だって 子供のくせに。」
恵里「高学年だからね 姉え姉えは。」
ハナ「これからの世の中は 厳しいんだからね。」
恵里「そうそう。」
勝子「まったく 毎日 1番 遅いからね 恵里は…。 沖縄の女はね 世界で 1番 働き者なんだよ。」
恵文「であるわけさ。」
恵里「何で?」
恵文「何でかねぇ。」
ハナ「沖縄の男が 全然 駄目だからさ。」
恵文「あれ 皆 何 見てるわけね?」
恵里「そうか…。」
恵文「何 恵里 納得してるわけね?」
学校
恵里「おはよう! あれ 恵達 低学年は あっち。」
恵達「来年は そっちに行くからよ。」
恵里のクラスは 5年生と6年生が 一緒です。 合わせて 10人です
きび畑
勝子「ほんとに もう…。」
サボっている恵文
この時 勝子さんの頭には ある考えが ありました。 でも なかなか それを 言えずにいたのでした
恵文「うっふ~。」
勝子「ええ 何 見てるの?」
恵文「いい女だなと 思ってさ。」
勝子「バッカだねえ!」
恵文「俺は 幸せもんだよ。」
勝子「はい 仕事 やるよう。」
恵文「はいはい。」
恵文「はいよ はいよ はいよ。」
夜
勝子「恵文さん。」
恵文「何? 改まって。」
勝子「話がある。」
ハナ「おばぁは もう 寝ようねえ。」
勝子「おかあさんも いて下さい。」
ハナ「はい。」
恵文「勝子が 『恵文さん』て 呼ぶ時は なんか 怖いからや~。 俺は 何も やってないよ。 ホントだからよ。」
勝子「そうじゃなくて この家の事…。」
恵文「『この家』?」
勝子「那覇に行かない? 皆で ここを出て…。」
恵文「何で? 何で そんな事やるのか 実家が恋しくなったからか?」
勝子「そうじゃないの。 小浜はいい所だし 大好きよ。 でも 私 このままでいいのかなと 民宿には お客さん来ないし 畑だけじゃ 食べていくだけで やっとさぁ。」
勝子「確かに それで暮らしていく分は ここは 何とかなるから いいんだけど でも 最近思うわけ それでいいのかねえって。」
恵文「いいさ 全然 上等さぁ。」
ハナ「勝子さんの気持ちは おばぁには 分かるね。」
恵文「おばぁ!」
勝子「ありがとうございます。 子供なんかの事も 考えて 教育費だって かかるし これからの子は 大学にも いかせてやりたいさ。」
勝子「ここに ずっと こんなやってる だけじゃ いけない気がするわけ。 そう思わんねぇ? 文ちゃん…。」
恵文「だからよ…。 せめて 民宿でも 繁盛してくれればやぁ。」