グアテマラ
(ノック)
恵里「こんにちは! 痛ぁ!」
真理亜「何?」
恵里「私 今度『マンデリン』に 住む事になりました 古波蔵恵里。」
真理亜「だから 何?」
恵里「沖縄から出てきたんです。 これ 私のお母さんと おばぁが 作った 沖縄のお菓子。 サーターアンダギーです。 どうぞ!」
真理亜「いらない。」
恵里「ちょっと待って下さい。 『よろしくお願いします』という事で。」
真理亜「何を よろしくするの?」
恵里「これから 困った時があったら お互いにたすけあったりとか。」
真理亜「私 あんたの助けなんか いらない。」
恵里「え?」
真理亜「それに あんたを助けるつもりも 全くないから 受けとれない。 じゃ。」
恵里「ちょっと!」
真理亜「私 忙しいんだけどな。」
恵里「せっかく お母さんと おばぁが 作ってくれたんで どうぞ。 おいしいですから。」
真理亜「『まずいから』と言ってんでないわ。 日本語 分かんないの?」
恵里「待って下さい!」
真理亜「いいかげんにして! 何なの?」
恵里「東京に人って 皆そんな感じ?」
真理亜「は?」
恵里「容子さんは 例外かな?」
真理亜「どっから来たって言ってたっけ?」
恵里「沖縄です!」
真理亜「何 胸はってんの? 沖縄の人って 皆 同じ性格なの?」
恵里「そんな事は ないですよ。 お父さんは て~げ~だし…。 適当って意味ですけど。 お母さんは しっかり者で おばぁは 何ていうんだろう? どういう性格なんだろ?」
真理亜「あんたさ もしかして…。」
恵里「え?」
真理亜「バ~カ! 沖縄の人も 皆 個人個人 違うでしょ? 東京も 同じ。 『東京の人』なんていう人間 いないの 皆 違うの。 分かった?」
恵里「ああ なるほど。」
真理亜「じゃ!」
恵里「ちょっと待って下さい。 よろしくしてくれなくて結構。 これ 受け取って下さい。 受け取ってくれるまで動きません。 受け取れ!」