ゆがふ
兼城「ありがとうございました。」
恵里「ありがとうございました。」
兼城「はあ やっと 落ち着いたねぇ。」
恵里「はい…。」
兼城「一服しようか。」
恵里「休んで下さい。 あ コーヒーでも…。」
兼城「いいねぇ 恵里ちゃんも それ 後で いいよ。」
恵里「ええ。店長。 」
兼城「あ? どうした?」
(戸が開く)
恵里「いらっしゃいませ!」
恵尚「ハイサイ ハイサイ ハイサイ ハイサ~イ!」
恵里「あ!」
兼城「ん?」
恵里「兄い兄い…。」
兼城「え?」
恵尚「おう 恵里! もう大丈夫だからよ。 俺が来たからにはよ! ハハハハハ。」
恵里「はっ?」
恵尚「俺に任せておけば 大丈夫さぁ。 ハハハハハ。」
恵里「何が 大丈夫なの?」
恵尚「だからよ…。」
恵里「あ 店長。 あの 私の兄です。」
兼城「兄い兄い? 恵里ちゃんの? 次から次へと やってくるねぇ 古波蔵家は…。」
恵尚「はい! 店長! ハハハハハ。」
兼城「ハハハハハ。」
恵尚「店長 頑張ろうねぇ ハハハハハ。」
恵里「チョット どうしたの? 兄い兄い。」
恵尚「だからよ 俺は この小さな店を 大きな立派な店に しようと やってきた。」
恵里「は?」
兼城「悪かったね 小さくて。」
恵尚「はい 気にしない 気にしない。」
恵里「何で? 何で よりによって。」
恵尚「何 言ってるか 恵里。 ホラ!」
恵里「あ!」
恵尚「お前の『兄い兄い 助けにきて』の メッセージ ちゃんと 受け止めたさぁ。」
恵里「出してないよ そんなメッセージは。」
恵尚「気にしない気にしない ねぇ 店長。」
兼城「ふふん。」
恵尚「何よ 恵里。」
恵里「いいから ホラ。」
恵尚「何よ そんな強く 引っ張って。」
恵里「あのさ 兄い兄い。」
恵尚「ん?」
恵里「気持ちは うれしいけど 今さ そういう事になってないんだよね。」
恵尚「ん?」
藤原「どうも 突然 お邪魔します。」
兼城「どちらさまで?」
藤原「申し遅れました。 私 こういう者でございますが。」
兼城「『関東テレビ プロデューサー』テレビ関係の人ね?」
藤原「はい 私どもの局で 昼間の 生放送番組がございまして その番組で ぜひ このお店から 生中継を させて頂きたいと思い お願いに あがったんですが…。」
恵里「え?」
兼城「は?」
恵尚「来た 来た 来た 来た 来た!」
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