聡子「結構 こっちも その気になって 偶然 外で 会ったりするでしょ? 退院した後とかに。 すると 向こうが 分からないのよ。 私の顔見て 『え?』『誰?』って 顔してるの。 名前言うと びっくりするの 明らかに がっかりしてる訳よ。」
恵里「ええ。」
聡子「よく スキー場で出会った 格好いいと思った男が 東京で会ったら『何だ こんなイモを 格好いいと 思ってしまったの?』というのが よく あるでしょ?」
店員「焼酎 梅割りです。」
聡子「ありがとう。」
聡子「どう? 嫌になった?」
恵里「え?」
聡子「ん?」
恵里「なってませんよ。」
聡子「何で?」
恵里「なってません。」
聡子「手ごわいわね。」
恵里「は?」
聡子「何でもない。」
恵里「質問していいですか?」
聡子「どうぞ。」
恵里「それなのに なんで看護婦の仕事を 続けてらっしゃるんですか?」
聡子「え?」
恵里「どうしてですか? 教えて下さい。」
聡子「何でだろう? 何でだろうね?」
恵里「質問してるのは 私ですから。」
聡子「そうでした。 すみません。 やはり あれかな?」
恵里「何ですか?」
聡子「それでも 辞めないのは 喜びが あるからかな?」
恵里「そうですか! よかった! お話聞けて。 本当に ありがとうございます!」
聡子「いえいえ どういたしまして。 ん? 私 機関銃 撃ちまくったのに 一発で 撃たれて死んだ気分よ。」
恵里「はい?」
聡子「ま いいか!」
恵里「本当に ありがとうございました。 私もおなかすいてきた。 食べよう。」
聡子「食べなさいよ おごってあげる。」
恵里「え? 本当ですか! うれしいな!」
聡子「私 ペースに巻き込まれた 気がするな。」
恵里「え?」
聡子「なんでもない。 気にしないで。 好きな物 選んで。」
恵里「本当ですか! 何にしよう。 私… 遠慮しませんよ。 迷ってしまう。」
会計中の文也と遥
遥「まだ 大丈夫だよね 生物学。」
文也「ああ。」
店員「1200円になります。」
恵里 何をしてるか! 悩んでいる場合じゃないよ!
恵里「この ジャンボハンバーグにします。」
ホラ 後ろ向きなさい 恵里!