玄関
勝子「あ!」
恵文「容子さん!」
容子「こんにちは! すみません突然!」
勝子「どうしたの? 容子さん。」
恵文「俺に会いに?」
容子「違います。 出張のついでに というか 無理やり同僚の出張を奪い取って。」
勝子「え?」
容子「お話ししたい事があって。」
東京
一風館
マンデリン
恵達「全然 足りないさ。」
恵里「そうだね。」
恵達「姉え姉え もう1年 待った方か?」
恵里「え?」
恵達「そうすれば 金も貯められるし 勉強も じっくりできるだろ?」
恵里「うん。」
恵達「その方が いいと思うんだけど その顔は ダメだね。」
恵里「だって 呼んでるんだよ 恵達。」
恵達「はいはい…。」
恵里「何とかなるさ 恵達。」
恵達「うらやましいよ その性格。」
恵里「でしょう? うらやましいでしょ?」
恵達「皮肉で 言ってんだよ。」
沖縄
古波蔵家
ハナ「恵里らしいねえ。」
勝子「すみません ご心配かけて。」
容子「余計な事だったら ごめんなさい。」
勝子「いいえ。 ご覧のとおりお金のある家でない。 でも 恥ずかしいとは思ってない。 子供達も そう思ってないと思う。 そんなふうに育ててないし。」
容子「分かります。 恵達君と恵里ちゃん 見てるから。 私 初めて会いました。『ウチ お金ないんですよ』と明るく言う子を。」
勝子「そうですか。」
島袋「私への返済を 恵里ちゃんに送ってあげて下さい。」
勝子「え?」
島袋「そうして下さい。 私は 何とか大丈夫ですから そうしてあげて下さい。」
恵文「それは出来ないさ 島袋君。」
勝子「うん。」
島袋「でも…。」
勝子「出来ないさ それは。 気持ちは とても うれしいけど しては いけないさ。 親が 頑張ってしてあげるけど どうしようもない場合 我慢するしかないさ。 もう1年延ばせばいい事かもしれないし。 恵里も それは ちゃんと 分かる子だから。」
容子「もう1年…。」
ハナ「ん? 何かが来るよ。」
恵文「電話? 恵里かね?」
容子「は?」
勝子「おばぁ?」
ハナ「電話では ないさ。」
男「すみません 書留です!」
勝子「はい!」
容子「何ですか? 超能力? 誰から 電話かかってくるの 分かるの?」
ハナ「そうさ。」
容子「え?」
恵文「ウチの おばぁは 怖いさ。」
勝子「恵尚。」
島袋「え? 恵尚ですか?」