恵里「そんな事ないよ。 もっと 胸 張って!」
恵尚「そうか? ん!」
ハナ「胸 張りすぎ!」
容子「面白いね 古波蔵家は!」
兼城「飽きないね。」
柴田「ですね!」
恵尚「あ! 店長 久しぶり。 つぶれてなかったね? 相変わらず 小さい商売してるね。」
兼城「お陰さまでね。」
柴田「お久しぶりです。」
恵尚「あい~! 名前 なんだった?」
ハナ「柴田さん おばぁの今の恋人。」
恵尚「何? ウチの おばぁに手をだしたのか?」
柴田「今のは そう意味ではなくて。」
恵尚「びっくりした! あんたの事を おじぃと呼ぶのかと思ったよ。」
恵里「兄い兄い 何やってたの?」
恵尚「俺?」
恵達「あのさ!」
恵尚「ん?」
恵達「久しぶりに帰ってきた兄い兄いに悪いんだけどさ。」
恵尚「何? 弟よ 何でも この兄い兄いに 言ってみなさい。」
恵達「兄い兄いの事は 後でいいかね?」
恵尚「は?」
恵達「今ね おばぁの話を聞いて訳 すごく大事な話なんだよ。 別に 兄い兄いが大切じゃないと 言ってる訳では。」
恵尚「何で 東京に おばぁがいるんの?」
ハナ「悪いか?」
恵尚「悪くは ないけど。 恵里 さっき 看護婦と言ってたけど 恵里は 看護婦さんなの?」
恵里「うん そうだよ。」
恵達「そこから話すと 長くなって たどりつかなくなる。 疑問には 後で 俺が答えてあげる。」
恵里「それがいい おばぁの話 聞きたい。」
恵尚「あれ? ん?」
柴田「忘れましょう。 この兄い兄いの事は。」
恵尚「忘れる? 4年ぶりなのに?」
恵里「兄い兄い 頼むからさ。」
恵尚「いいよ 別に俺は。」
ハナ「どうするね?」
容子「おばぁの話。」
恵尚「そうね! 別に 俺は いいよ。」
容子「恵尚君。」
恵尚「はい。」
容子「ちょっと 黙ってて!」
恵尚「はい。」
ハナ「おばぁは 19歳の時に 一度 東京に来た事があるさ。」
恵尚「へえ!」
容子「へえ! そうなんだ。」
ハナ「初恋の人に 会いに来たさ。」
恵里「初恋の人?」
ハナ「石垣島で出会った人で測候所で 働いていた人さ。 名前は 佐藤 進さんといって 東京の人。 スラッとした いい男よ。」
恵里「へえ…。」
恵達「それで?」
ハナ「時々 デートしてさ。 今の人と違って 時々 浜で会うくらいさ。 その人は いろんな所へ転勤で 行った事があって。」