一風館
玄関
マンデリン
文也「おやすみ」
古波蔵家
恵尚「おやじさんの三線は 最高だねえ!」
島袋「やあ!」
勝子「うるさいねえ」
祥子「いえ」
恵文「なにを言ってる おなかの子のために やってるのさぁ 三線の音はね 胎教に いいんだよ だから こうやって やってるわけさ」
祥子「そうだったんですか?」
恵文「そうだよ フフフ…」
ハナ「じゃ 酒は要らないねえ」
恵文「待って 待って 待って! おばぁ…」
勝子「バカだねえ」
祥子「恵達も おなかの中にいる事 聞いてたんですよねえ」
勝子「うん であるよ」
恵文「そういう事さ じゃ もう1曲 いくかね?」
恵尚「マカチョーケ!」
島袋「イッチュード!」
恵文「はいよ!」
ハナ「う~ん…」
勝子「あっ…」
祥子「電話ですか?」
ハナ「鳴るねえ」
勝子「恵理ですね」
ハナ「であるねえ」
勝子「…静かに! 静かにして!」
恵文「はい!」
☎(呼び鈴)
勝子「もしもし 恵理?」
公園
恵理「わ… 電話出るの 早いね 分かってた?」
古波蔵家
勝子「分かってたよ どうしてたわけ?」
公園
恵理「うん …なんとなく お母さんの声 聞きたくなってさ あぁ みんな 元気?」
古波蔵家
勝子「あい もう うれしいさ みんあ 元気だよ 祥子ちゃんも 順調だし おばぁも ますます 元気さあ あとは 以下同文」
恵文「なにか それは…」
勝子「恵理は? そっちは どうね? みんな 元気?」
公園
恵理「うん 元気だよ(バッテリーが上がる音)あ… ごめん 充電 切れる ありがとうね お母さんの声 聞いたら 元気になったさ うん… じゃあね」
古波蔵家
勝子「(通話が切れる)あら… ま… よかったんじゃない? 恵理は お母さんの声が 聞きたかったらしいよ お母さんの お父さんじゃなくて だから いいんじゃないの?」
恵文「ふ~ん あら… そうですか で… 元気だったの?」
勝子「う~ん なんか 悩みがあるんだろうね 多分 でも 大丈夫さ 恵理は…」
恵文「そう… ま… あんまり 相談されなくなったからねえ… 大人になったから 恵理も 心配かけなくなったさぁ」
ハナ「お前も いい加減 大人になりなさい」
恵文「はい …って おばぁ!」
恵尚「大丈夫さ 俺がいるさ 実は 俺は… みんなが寂しいと思って わざと 心配をかけるような 生き方を選んでしまった でも 気にしないで… それが 当然の親孝行さ」
ハナ「このバカが」
恵尚「あ~っ…」
島袋「♪『うっら うっら うっら うっら うっらうっら うっら うっりゃ うっりゃ うっら うっら』」