連続テレビ小説「あまちゃん」103回「おら、地元に帰ろう!?」

アキ「うわ~! うわ~!」

鈴鹿「な… 何よ。」

アキ「すいません。 何か もう 極度の緊張で 叫ばずにはいられませんでした。 あ~ すっきりした!」

春子「あ~ よかった。」

鈴鹿「それ ここでは いいけど 現場でやったら 一発で降ろされるわよ。 あ~ びっくりした! 何… あれ? 何の話してました?」

水口「電話したんですよね ゆうべ。」

春子「ああ そうそう そうそう。 今 諦めたら 後悔するって言いました。 ねっ!」

鈴鹿「ご自身は後悔してないのに?」

春子「ええ。」

鈴鹿「娘が後悔するって言うの?」

春子「娘がしなくても私がします。」

鈴鹿「天野さんが?」

春子「はい。 この子 すごいんですよ 少なくとも 私とは 全然違う。 ごめんなさい 親バカで。 本人 目の前にして言うのも あれだけど この子 すごいんです!」

アキ「うわ~!」

春子「えっ? えっ?」

アキ「すいません。 褒められ慣れてねえもんで。」

鈴鹿「どんなふうに すごいの?」

春子「アイドルだったんですよ。 鈴鹿さんの前で言うのも 変なんだけど どんなに 歌がうまくても お芝居が上手でも それだけじゃ アイドルになれないでしょ? う~ん 何か こう… 私には分かんないんだけど 何かが ある訳でしょ? ねえ 大将!」

梅頭「え?」

春子「そのね 何かが 何なのか 私自身が知りたいんです。 アイドルって『偶像』だっけ? シンボルとかね。 アキは アイドルだったの。 小さい田舎の しょうもない町だけど そこでは間違いなく アイドルだったんですよ。 ねえ 種市君!」

種市「はい!」

春子「みんなの期待を 一身に背負って 出てきたの。 だから みんな 私に声かけるの 今でも!『アキちゃん 元気? どうしてる?』。 もう とっくに いないのによ。 それって アイドルでしょ? そこに いないのに みんなの心に アキがいるって事でしょ?」

鈴鹿「そうね。」

春子「『そうね』って…。 無理に分かって頂かなくて 結構ですよ。」

鈴鹿「確かに あなたの娘さんは 一緒にいて楽しいし 度胸もあるし お顔だって かわいいし…。」

アキ「うわ~!」

鈴鹿「こんな感じだけど アイドルの資質あるかもしれません。 でもね お母さん そんな子は ごまんといるんです。 原石なんか ゴロゴロ転がってるの。 そんな中で 磨いて光るのは たった一個なんです。」

(引き戸が開く音)

アキ「じぇじぇじぇじぇじぇ…!」

水口「社長! えっ 何で?」

荒巻「こっちのセリフだ。 何で…。」

春子「初めまして! 天野アキの母です。 娘が 大変お世話になりました。」

鈴鹿「私が呼んだの。」

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