水口「という訳で CDは予定どおり発売される。 声は 差し替えられないから アキちゃんの声が残っちゃうけど。」
<声だけか… ママど一緒だ>
水口「ごめんね。 ロボットみたいな声で。」
アキ「いや おら ともかく みんなが デビューできるのは よがった。 …で 水口さんは どうすんだ?」
水口「『どう』って…。 う~ん。 社長に頭下げるのは プライドが許さないし。 とはいえ 会社辞める 度胸もないしな。 琥珀でも 堀りに行くかな。」
アキ「よし! 勉さんに電話すっぺ!」
水口「いや いや いや! そこまで迷ってないけど。」
アキ「そうか? いろいろ楽しかったな。」
水口「ユイちゃん 元気にしてるかな? 正月以来 しゃべってないけど。」
アキ「あ そうそう! 海女さんになるって。」
水口「え?」
アキ「今年の夏 海に潜ってみるって。」
水口「じぇじぇ! あのユイちゃんが?」
アキ「びっくりだべ?」
水口「え~?」
アキ「おらも 帰って潜りてえな。」
水口「え? 潜ればいいじゃない 2人で。」
アキ「いや やめとくべ。」
水口「どうして?」
アキ「まだ こっちで 飛び込んでもいねえがら。 海女になる時もそうだった。 最初は 夏ばっぱに 背中押されて。 そのあと やっと 自力で 飛び込んだ。」
アキ「今 ユイちゃんも 自力で飛び込もうとしてんだ。 それなのに 邪魔しちゃ悪いべ。 だから おら ママを信じて もうちょっと こっちで頑張る。」
水口「できるよ アキちゃんなら。 思うんだけど いつも アキちゃんの周りには 自然と 人が集まってきて みんな自然と笑顔になるだろう? それって 才能っていうか 本当の意味で アイドルとしての資質が あるって事だと思うんだ。」
アキ「うん。 うん!」
水口「アイドルって 自分でなったり 宣言したりするものじゃなくて。」
アキ「うん。」
水口「周りに集まってる人間が アイドルにしていくんじゃないかな。」
アキ「うん。」
水口「ねえ 聞いてる?」
アキ「うん。 うん。 ちょっと待って。」
水口「え ユイちゃん?」
アキ「勉さん。」
水口「あ…。」
喫茶・リアス
勉「聞いたぞ 水口。 行き詰ってるそうだな。」
純喫茶・アイドル
水口「アハハ! いや…。」
電話・勉『じゃあ 来い! 今来い!」
純喫茶・アイドル
電話・勉勉『深夜バスで来い!」
喫茶・リアス
勉「おらが死んでも 琥珀が待ってるからな。 8,500万年前から お前の事 待ってるぞ。」
電話・水口『はい。」
ユイ「もしもし!」
純喫茶・アイドル
水口「え ユイちゃん?」
電話・ユイ『アキちゃんに代わって。」
水口「あ… うん。」
アキ「もしもし…。」
電話・ユイ『ユイだけど。』
アキ「うん 元気?」
喫茶・リアス
ユイ「うん プール行ってきたの。 まだ1分潜れないけど 磯野先生に褒められた。」
純喫茶・アイドル
アキ「そうかあ。」
喫茶・リアス
電話・アキ『何か 反対になっちまったな。 ユイちゃんが 海女さんになって。」
純喫茶・アイドル
電話・ユイ『アキちゃんがアイドルだもんね。」
アキ「しかも クビになっちゃうし。」