連続テレビ小説「あまちゃん」116回「おらのばっぱ、恋の珍道中」

翌日

(ノック)

アキ「じぇじぇ!」

夏「しっ! 行くぞ 行くぞ。」

春子「あら! 夏さん どちらへ お出かけ? 歌舞伎か何か?」

夏「晩飯 要らねえがら。 遅くなっからよ。」

春子「どこ行くのよ?」

夏「行くべ 行くべ!」

アキ「おらも遅くなるから。 んじゃな~!」

春子「『んじゃな』って…。」

東京シティスタジオ

鈴鹿「歌番組の収録は 巻く場合が多いから 急いで!」

<結局 鈴鹿さんも ついてきました>

アキ「なすてだ?」

鈴鹿「便乗よ。 あんたの おばあちゃんに便乗して 昔の事 水に流してもらうのよ。 こちらで~す! あっ!」

アキ「あれが? ゆき橋夫?」

鈴鹿「橋 幸夫だって!」

橋「ああ…。 ああ 女優さんの。」

鈴鹿「鈴鹿ひろ美です。」

橋「いや~ わざわざ お電話頂いたそうで。 見てますよ『静御前』。 どうも 初めまして。」

アキ「初めまして?」

鈴鹿「初めて… ではないんです。 デビュー作で『潮騒のメモリー』という映画で お世話になったんです。」

<覚えてないんだ>

橋「アハハハッ 思い出した。『潮騒のメロディー』ね。」

<駄目だ…>

アキ「ばっぱ? 夏ばっぱ! ばっぱ! お~い! 何で逃げるんだよ!」

夏「おら やっぱし 会わねえで帰ります。」

アキ「せっかく来たのに。」

夏「いやいや もう 顔見れただけで 十分だ。」

橋「夏ちゃん? 夏ちゃんだよね。 あの ほら 北三陸の 海女の 夏ちゃんだよね。 そうだろ?」

夏「はい… 夏です!」

アキ「じぇじぇじぇじぇ。 覚えてるんですか? 一緒に歌ったよね 体育館でさ。 いや~ 懐かしい。 でも変わんないね。」

夏「橋さんこそ いつまでも お若くて…。」

橋「いや それは うれしいよ。 けど 君 誰?」

夏「あ… あの ま… 孫です。」

橋「えっ 孫?」

夏「はい!」

橋「夏ちゃんの?」

夏「はい!」

橋「ハハハハッ! 孫だってよ 鈴木さん。」

鈴鹿「…鈴鹿です。」

橋「あの~ これから 何かあるの?」

喫茶・リアス

勉「あったよ ユイちゃん! 見つけた!」

ユイ「マジで?」

ヒロシ「えっ 何 何? 写真?」

勉「おらが撮った。 ちょっと ピント 甘(あめ)えけど 夏さんと 橋 幸夫!」

ユイ「夏さん 若い。」

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