回想
ユイ「え~!? 何それ! えっ マジで?」
アキ「し~っ! し~っ!」
ユイ「え? だって それじゃ 春子さん 鈴鹿ひろ美の影武者じゃん。」
アキ「落ち武者。」
ユイ「落ち武者じゃん。」
一同「…。」
ユイ「影武者じゃん。 え~? あっ! じゃあ やっぱ これって…。」
♬~(『潮騒のメモリー』)
春子♬『来てよ その火を』
ユイ「春子さんだ。 春子さんの声だもんね。 うわ~。」
水口「つまり あと3日で 鈴鹿さんの音痴を 直さないといけない。」
ユイ「音痴なの?」
水口「音痴だ。 それに 始末が悪いのは 本人に その自覚が ほとんどない。 だから 音痴って言うと落ち込む。」
ユイ「あら 面倒くさ。」
水口「でも だいぶ ましになってるんだよね。」
アキ「うん。 ママの話では たまに当たるって。」
ユイ「たまに当たる?」
<そうなんです。 10回に1回… いや もっと低い確率で たま~に 音程が合う事があり…>
回想
鈴鹿♬『来てよ その火を 飛び越えて』
春子「すごい! 今 合ってましたよ!」
(拍手と歓声)
鈴鹿「ありがとうございます!」
春子「すごい 進歩 進歩! やれば できるじゃないですか! どうですか? 歌ってて。 気持ちいいでしょ?」
鈴鹿「はい! …っていうか ずっと気持ちいいです!」
春子「ずっと合ってるつもりだから 前のと今のと 違いが分かりません!」
春子「ハハッ そうなんだ!」
鈴鹿「ハハハハッ!」
鈴鹿♬『て~ て~ て~』
回想終了
鈴鹿「あ~…。」
「開園まで もう少々 お待ちください!」
鈴鹿「『三途の川』じゃないよな~。」
水口「どうしました?」
夏「歌詞が決まらねえみてえだ。」
鈴鹿「『三途の川の マーメイド』のところ。」
アキ「(小声で)そんなのいいがら 練習してよ。」
かつ枝「まあ 確かにな『三途の川』はな…。」
安部「んだら『三度の飯より マーメイド』は?」
美寿々「『三段腹の マーメイド』は?」
水口「『三枝の愛ラブ! クリニック』は?」
ヒロシ「せめて『マーメイド』は残しませんか?」
ユイ「ちょっと どうでもいいけど あと30分で開演ですよ!」
一同「じぇじぇじぇ!」
鈴鹿「ちょっと待って ちょっと待って。 え~っと…。」
<さすがは 根強い人気を誇る 鈴鹿さん。 アイドル時代からのファンは もちろん 家族連れや お年寄りなど 幅広い層のファンが 押し寄せました。 まだ 仮設住宅に お住まいの皆さんには 特別招待席が用意されました>
ヒビキ「いや~ 2009年の海女ソニは 熱かったわ~!」
(拍手と歓声)
水口「いいんですか? 今更 遅いか。」
荒巻「いつでも逃げられるように ここに いるんだ。 安心しろ。 最悪の事態は回避するために 影武者が向かっている。」
水口「え?」
アキ「ねえ ばっぱ。 じいちゃんは?」
夏「ああ どっかに いるはずだがな…。」
アキ「まあいいか。 あっ そこ座ってけろ。」
天野家
(足音)
黒川「こんにちは~! あれ お父さん!」
忠兵衛「おお ちょうど いがった。」
黒川「どうも。」
忠兵衛「正宗君 宮古まで送ってけろじゃ。」
黒川「あっ 春子さんは?」
忠兵衛「春子? 東京だべ。」
黒川「いや 東京から来たんです! 急に いなかくなったんです!」
忠兵衛「そうか。 そんなら あれだ ほれ 海女カフェ。」
黒川「ああ…。 えっ? お父さんは どこ行くんです?」
忠兵衛「どこって おめえ また漁さ出んのよ。」
黒川「何で 今日?
忠兵衛「今日 船が出るからよ。