連続テレビ小説「あまちゃん」153回「おらたち、熱いよね!」

回想

ユイ「え~!? 何それ! えっ マジで?」

アキ「し~っ! し~っ!」

ユイ「え? だって それじゃ 春子さん 鈴鹿ひろ美の影武者じゃん。」

アキ「落ち武者。」

ユイ「落ち武者じゃん。」

一同「…。」

ユイ「影武者じゃん。 え~? あっ! じゃあ やっぱ これって…。」

♬~(『潮騒のメモリー』)

春子♬『来てよ その火を』

ユイ「春子さんだ。 春子さんの声だもんね。 うわ~。」

水口「つまり あと3日で 鈴鹿さんの音痴を 直さないといけない。」

ユイ「音痴なの?」

水口「音痴だ。 それに 始末が悪いのは 本人に その自覚が ほとんどない。 だから 音痴って言うと落ち込む。」

ユイ「あら 面倒くさ。」

水口「でも だいぶ ましになってるんだよね。」

アキ「うん。 ママの話では たまに当たるって。」

ユイ「たまに当たる?」

<そうなんです。 10回に1回… いや もっと低い確率で たま~に 音程が合う事があり…>

回想

鈴鹿♬『来てよ その火を 飛び越えて』

春子「すごい! 今 合ってましたよ!」

(拍手と歓声)

鈴鹿「ありがとうございます!」

春子「すごい 進歩 進歩! やれば できるじゃないですか! どうですか? 歌ってて。 気持ちいいでしょ?」

鈴鹿「はい! …っていうか ずっと気持ちいいです!」

春子「ずっと合ってるつもりだから 前のと今のと 違いが分かりません!」

春子「ハハッ そうなんだ!」

鈴鹿「ハハハハッ!」

鈴鹿♬『て~ て~ て~』

回想終了

鈴鹿「あ~…。」

「開園まで もう少々 お待ちください!」

鈴鹿「『三途の川』じゃないよな~。」

水口「どうしました?」

夏「歌詞が決まらねえみてえだ。」

鈴鹿「『三途の川の マーメイド』のところ。」

アキ「(小声で)そんなのいいがら 練習してよ。」

かつ枝「まあ 確かにな『三途の川』はな…。」

安部「んだら『三度の飯より マーメイド』は?」

美寿々「『三段腹の マーメイド』は?」

水口「『三枝の愛ラブ! クリニック』は?」

ヒロシ「せめて『マーメイド』は残しませんか?」

ユイ「ちょっと どうでもいいけど あと30分で開演ですよ!」

一同「じぇじぇじぇ!」

鈴鹿「ちょっと待って ちょっと待って。 え~っと…。」

<さすがは 根強い人気を誇る 鈴鹿さん。 アイドル時代からのファンは もちろん 家族連れや お年寄りなど 幅広い層のファンが 押し寄せました。 まだ 仮設住宅に お住まいの皆さんには 特別招待席が用意されました>

ヒビキ「いや~ 2009年の海女ソニは 熱かったわ~!」

(拍手と歓声)

水口「いいんですか? 今更 遅いか。」

荒巻「いつでも逃げられるように ここに いるんだ。 安心しろ。 最悪の事態は回避するために 影武者が向かっている。」

水口「え?」

アキ「ねえ ばっぱ。 じいちゃんは?」

夏「ああ どっかに いるはずだがな…。」

アキ「まあいいか。 あっ そこ座ってけろ。」

天野家

(足音)

黒川「こんにちは~! あれ お父さん!」

忠兵衛「おお ちょうど いがった。」

黒川「どうも。」

忠兵衛「正宗君 宮古まで送ってけろじゃ。」

黒川「あっ 春子さんは?」

忠兵衛「春子? 東京だべ。」

黒川「いや 東京から来たんです! 急に いなかくなったんです!」

忠兵衛「そうか。 そんなら あれだ ほれ 海女カフェ。」

黒川「ああ…。 えっ? お父さんは どこ行くんです?」

忠兵衛「どこって おめえ また漁さ出んのよ。」

黒川「何で 今日?

忠兵衛「今日 船が出るからよ。

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