漁協
長内「はい 御苦労さん！ おう 大きいよ。 さすが美寿々ちゃん。 今年は 液晶テレビ買えっぺ。」
美寿々「わ～お！ おう！」
大吉「アキちゃん！ ウニ 取れたんだって！」
アキ「大吉さん！」
大吉「いがったな！ これで一人前の 海女でねえか？」
夏「大げさだなあ たかが ウニ取っただけだっつうのに。」
菅原「いやいや 大ニュースだべ！ お 足立君！ これ早速 ホームページさ アップするべ。」
ヒロシ「はい。」
長内「安部ちゃん 安部ちゃんには おらからの 選別も付けて 長い間 御苦労さん！」
安部「ありがとうございました。」
長内「こちらこそ。」
（拍手）
長内「ご苦労さま！」
安部「もらった！」
夏「御苦労さん！」
春子「ほら アキの晩。」
長内「うん… じゃあ 今年の天野家は 500円。 はい。 アキちゃん。」
アキ「ごめん。」
春子「何が？」
アキ「だって おばあちゃんだったら 何万円も…。」
夏「銭が全てじゃねえ。 アキが 初めて 自力で取ったウニだ。 天野家にとっちゃ 一生もんだべ。」
アキ「はあ…。」
アキ「あ ユイちゃん！」
ユイ「アキちゃん！」
アキ「やったよ ウニ取ったよ！」
ユイ「嘘！？ やった～！ おめでとう！ どれ見せて 見せて！」
アキ「組合長 どれ？」
長内「…。」
ユイ「あ 交ざっちゃったの？」
長内「いやいや！ ちゃんと ここさ あるのでござる！」
ユイ「うわ～！」
＜アキが取った たった一個のウニは 海の神様に 奉納されました＞
浜
夏「今年も ありがとうございました。」
春子「ちょっと 待って 待って 待って！ これ撮んなきゃ。 写真撮るの！ ちょっと どいて！ ちょっと どいて！」
夏「いいかい？ じゃ これ持って！」
＜こうして 海女のシーズンは 静かに 幕を閉じたのです＞
