天野家
居間
春子「来ないでって 言ったのに 何で来んのかな もう!」
黒川「何が悲しくて 娘の誕生日に 一人で。 ねえ お父さん!」
春子「お父さんとか 呼ばないでよ!」
忠兵衛「亭主に向かって そういう 口のきき方しちゃ駄目だ。」
夏「んだ んだ 相手を立てるのが 長続きの秘訣だ。」
春子「年に10日しか 一緒にいない夫婦に 言われたくないんですけど。」
黒川「え? そうなんですか!」
夏「これが 意外と悪くないのよ メリハリがついて。」
忠兵衛「正宗さんも 乗りますか? マグロ船。」
黒川「いいですね!」
春子「お~ 言ったね! そのかわり 会いたい時に 会えなくなるんだからね。」
黒川「お母さん 僕 タコ 大好物なんです。」
夏「あ~ いがった!」
アキ「ママ!」
春子「何? 何よ?」
アキ「誕生日 明日 明けて今日 誕生日。」
春子「そうよ だから こんな面倒くさい事に なってんじゃないのよ。」
アキ「お祝い 何か お祝い。」
春子「それどころじゃないでしょ あんた 早く寝なさい。 はい おやすみ はいはい。」
夏「ああ…。」
忠兵衛「春子も飲め。」
春子「飲むよ!」
忠兵衛「よし。」
春子「それで いいよ!」
2階
夢
♬『君に胸キュンキュン 浮気な夏が ぼくの肩に手をかけて 君に胸キュンキュン』
♬『気があるの?って こわいくらい読まれてる さざ波のラインダンス 時間だけこわれてく』
夢終了
黒川「どうした?」
アキ「怖い夢 見た。」
黒川「お父さんが ついてるから 安心しなさい。」
アキ「うん おやすみ。」
黒川「おやすみ。」
アキ「嫌~!」
春子「信じられない!」
夏「何してんだ? 娘の布団に潜り込んで!」
黒川「いやいや だって 去年までは 時々 一緒に寝てたから。」
アキ「嘘 中学まで!」
春子「嫌々でしょ? 嫌々 寝てたんでしょ!」
黒川「いいじゃないか 親子なんだからさ。」
忠兵衛「正宗君 見苦しいべ!」
作業場
ユイ「おはようございます!」
かつ枝 弥生「おはよう!」
ユイ「あの 知り合いの先輩に 聞いたんだけど 誰も 連絡先 知らなかった。」
アキ「そっか。」
ユイ「ごめんね 力になれなくて。」
アキ「いいんだ 明日 学校で会うし。」
弥生「何だ おめえ ミサンガ 手首さ巻いてんのか?」
アキ「え?」
かつ枝「おう おそろいだな 見ろ!」
(鶏の鳴き声)