連続テレビ小説「あまちゃん」36回「おらのじっちゃん、大暴れ」

北三陸駅

種市「天野ごめん 誕生日だって 知らながったんだ。」

アキ「え?」

種市「いや もうすぐ潜水士の 資格試験だべ? 毎日 勉強頑張ってるからさ 受かるといいなと思って。」

アキ「わざわざ 買ってくれたんですか?」

種市「うん そごで。」

アキ「高(たけ)!」

種市「だから それ 誕生日プレゼントじゃねんだ。」

アキ「むしろ うれしいです。 全然うれしいです!」

種市「そうか。」

大吉♬『(Ghostbusters)』

アキ「あの。」

種市「え?」

アキ「一つ お願いがあるんですけど。」

種市「何だ?」

大吉♬『(Ghostbusters)』

アキ「もし資格試験…。」

大吉♬『(Ghostbusters)』

アキ「もし資格試験さ 受がったら。」

種市「受がったら?」

大吉♬『(Ghostbusters)』

アキ「受がったら…。 おらと デートしてけろ。」

大吉♬『(Ghostbusters)(Ghostbusters)』

大吉♬『(Ghostbusters)(Ghostbusters)(Ghostbusters)』

アキ「うるせえな もう!」

種市「デートって おめえ。 ここらで デートったって おめえ どごさ行けば いいんだ。」

忠兵衛「うわ~! アキ何やってんだ? おめえ! 夏ばっぱと デュエットだぞ! おい来い!」

アキ「今 行ぐ!」

種市「じゃあ 自分(ずぶん) そろそろ帰るわ。」

アキ「わざわざ すいません。」

種市「うん じゃ。 天野。」

アキ「え?」

種市「デートな。 うん 考えとくわ。」

アキ「はい!」

スナック・梨明日

♬『ああ 港町十三番地』

(掛け声)

忠兵衛「よ~し! 次 春子だ! 歌え。」

春子「いやいや 私は いいよ。」

忠兵衛「歌ってけろ! 昔は おめえ おらが 漁さ出る晩は 必ず一曲 歌ってくれたべ。」

春子「え~!」

忠兵衛「はい みんな拍手!」

(歓声)

アキ「ママ歌って!」

春子「いい いい!」

美寿々「マイク マイク マイク!」

菅原「お父さん ちょっと 飲み過ぎたんでないか?」

春子「うん そう。」

忠兵衛「うるせえ! 24年ぶりなんだど 娘の歌っこ 聴きてえべ なあ! なあ!」

大吉「よし 春ちゃん こうなったら もう 歌わねえと 済まねえべ。」

春子「え~!」

(♬~)

吉田「わ! 懐かしいな! 何だっけ? これ。」

美寿々「映画の主題歌だっぺ。」

<その歌は 20年前の流行歌でした。 なぜ正宗が その曲を入れたのか その真意は 分かりません>

(曲を止める)

春子「やっぱ 無理 無理 無理!」

忠兵衛「何だよ? 歌わねえのかよ。」

春子「うん。」

忠兵衛「変わっちまったな。 昔は おめえ 東京さ行って 芸能人になるって 語ってたのに。 正宗君。」

黒川「はい。」

忠兵衛「知ってた? あいつね『アイドル歌手になる』っつうて 家出したんですよ。」

(黒川の笑い声)

アキ ユイ「え?」

忠兵衛「え? え? え?」

<耳を疑う者 聞き流そうとする者 聞いてなかった者>

弥生「え? え? 今 何言った?」

<楽しかった アキの誕生会が 緊迫した空気に包まれました。 おとうさんが とんでもない爆弾を 落としてしまった事だけは 間違いないようです>

♬(『GHOSTBUSTERS』)

弥生「お~! いけいけ!」

大吉♬『(Ghostbusters)』

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