天野家
アキ「ウニが68匹 ウニが69匹…。」
<案の定 アキは眠れませんでした>
アキ「ウニが72匹…。」
<にわかに信じ難い。 元スケバンのやさぐれ者 春子が その昔 アイドル歌手を 目指していたとは…。 でも 確かに思い当たる節はある>
回想
春子「『海女になりたい』って 言いだして ちょっと壁にぶつかったら 今度は何? アイドル? くっだらない。」
回想終了
アキ「ウニ135匹 ウニ136匹…。」
<そうだ。 春子は徹底して アイドルを毛嫌いしていた。 事あるごとに アイドル的ポジションを否定した>
回想
春子「駅弁売ったり ちやほやされたり 写真撮られたり そんな事するために ここで暮らしてるの?」
春子「アキは 観光協会や 北鉄のオモチャじゃないの。」
春子「危ない輩の危ない攻撃に 四六時中 苦しめられて 一生 日陰を歩く覚悟が あんたたちに できるてるの?」
回想終了
<あの異常な警戒心も被害妄想も かつて 自分が 芸能界に憧れていたとしたら…>
アキ「ウニ725匹…。」
(目覚まし時計の音)
春子「いつまで寝てんの? どいて!」
黒川「ああ… おはよう。」
忠兵衛「そったら怒んなよ 春ちゃん。」
春子「怒ってません!」
<そういえば アキは 母の歌を聴いた記憶がありません>
学校
ユイ「一度も!?」
アキ「一度も。」
ユイ「童謡とか 子守唄とか 鼻歌も?」
アキ「ない。」
ユイ「ラップも? ねえ ラップは?」
アキ「しない。 えっ ラップする? お母さん。」
ユイ「しない。」
アキ「だよね。」
ユイ「でも 昔は違ったみたいだよ。」
アキ「えっ?」
ユイ「パパに聞いちゃった。 アキちゃんのお母さん 昔 のど自慢で優勝したんだって。」
アキ「じぇじぇじぇ!」
足立家
功「あった あった あった! あったよ! 入るよ! お~ ハッハッハッハッ。 ほら~。」
アキ「じぇじぇ!」
功「これがね 高1の春 それから 秋。」
功「え~っと これがね 高2の春。 これは 宮古のカラオケ大会で 優勝した時。」
アキ「へえ~!」
功「これはね 盛岡。 この時はね 百恵ちゃん 歌ったんだ。」
ユイ「すご~い。 こんなに?」
功「コンテスト荒らしだったんだよ 天野。」