北三陸駅
大吉「いやいや ちょっと意味分かんねえべ。」
功「まだ決まった訳じゃないんだよ。 そういう意見が 議題に上がってますっていうね。」
喫茶・リアス
(ドアベル)
春子「いらっしゃいませ~! あ~ 先生。」
大吉「誰ですか? 先生。 誰が言いだしたんですか?」
功「だから 市長だよ。 アイスコーヒー。」
春子「あっ は~い。」
功「あれは もともと モータリゼーション推進派だからね。 北鉄廃線をマニフェストにして 当選した訳だから。」
大吉「あの植毛野郎め…。 ウーロンハイ焼酎抜き!」
春子「何 どうしたの?」
大吉「市長が 北鉄を 廃線にしようとしてるって。」
吉田「何!?」
功「年度末になるとな 予算の見直しだ 削減だって 騒ぎ立てる奴が多くてね。」
春子「でも あれでしょ? 今年は黒字なんでしょ。」
吉田「んだ。 右肩上がりとは言えねえが 右肩水平ぐらいには 持ってったべ?」
大吉「北鉄は 市民の大事な足なんです。 病院に通う お年寄りや 通学の学生さんは?」
功「バスで賄えるそうだ。」
大吉「バ…。」
吉田「ス…。」
大吉「バス バス バス バス バス…。」
吉田「バス ガス爆発! バス ガス爆発! バス! バス バス バス!」
功「私も つらいよ。 今年は 開通25周年だし なんとかしたいと 思うんだけどもね。 立場上 市長を 擁護しなくちゃならないし。」
吉田「どうします? 駅長。 署名運動でも やりますか?」
春子「集まらなかったら最悪じゃない?」
大吉「アキちゃんとユイちゃん 呼んでくれ。」
春子「何? また あの2人に頼る気?」
大吉「この間 じじい2人が 何か 調子いい事 言ってましたよね。 何でしたっけ?」
回想
大吉「観光協会と北鉄で 代々的なイベントやって盛り上げて 弾みつけたいねって。」
功「いいね。 そういうの大好き。」
春子「たきつけないで下さいよ。」
功「だって これから 冬だよ。 雪景色だよ。 つまんないよ。」
勉「雪ん中 走る北鉄も なかなかのもんですよ。」
功「あっ だったら お座敷列車って どう? 車両を改装してさ 堀りごたつにして 宴会やりながら 北三陸と畑野の間 往復するんだよ。」
回想終了
大吉「お座敷列車か~!」
功「じじいって 私の事か?」
大吉「車両を掘りごたつに改装して 宴会やりながら 北三陸と畑野の間を往復して!」
吉田「めちゃくちゃ 金かかるじゃないですか。」
大吉「だから アキちゃんと ユイちゃん呼んで 客呼ぶんだべ。 転んでも タダじゃ起きねえ 北三陸鉄道! 起死回生の一大イベント仕掛けるぞ! どうですかね? 先生。」
功「あっ いや 儲かる。 盛り上がる。」
大吉「じゃあ ちょっと来て下さい。 一緒に来て下さい。 先生 早く! お願いします!」
功「いや かばん…。」
大吉「吉田が持ってきます。 先生 すぐですから。 お手間は とらせません。 すぐそこです! すぐ済ませますから。 さあ さあ さあ!」
春子「…大丈夫か?」