<そこには まだ幼かった自分の爪痕が残っていました>
<まだ見ぬ東京に 憧れていた 10代だった春子の…>
(鶏の鳴き声)
天野家
アキ「おばあちゃん 今日は 海潜らねえの?」
夏「毎日 潜る訳でねえんだ。 週に2回出れば いい方だ。 おらも年だし 海女は 半分趣味だから。」
大吉「おはようございます!」
夏「ああ おはよう!」
アキ「おはよう!」
大吉「お アキちゃん手伝ってんのか?」
アキ「うん 電車さ乗るの。」
大吉「そうか そうか。 春ちゃんは?」
夏「ああ 夜中さ 帰ってきたみてえだが。」
大吉「ど~れ ウニ丼運ぶぞ!」
北鉄
(警笛)
夏「北三陸鉄道リアス線 通称北鉄名物 ウニ丼は いかがですか!」
アキ「いかがですか!」
夏「もっと 大きな声 出さねえと 売れねえど。」
アキ「いかがですか!」
夏「いかがですか!」
大吉「畑野 畑野に到着です。 忘れ物ないよう ご注意下さい。」
<その少女は 畑野駅から乗ってきました。『この子 普通の子じゃない』 アキは 直感的に そう感じたのです>