高校
ユイ「ねえ アキちゃん もし… もしもだよ。」
アキ「うん。」
ユイ「もし 万が一『2人で デビューしないか』って 言われたら どうする?」
アキ「…2人?」
ユイ「潮騒のメモリーズだよ。」
アキ「じぇじぇじぇ!」
ユイ「静かに!」
アキ「ごめん…。 でも それは ねえべ。」
ユイ「それしか 理由ないと思うの。 私一人だったら 身分なんか偽ったりしないで 直接 声かければいいと思うの。 実際連絡先書いて 渡したんだよ。 でも 何も言ってこない。 …って事はさ 私一人じゃ駄目なんだよ。 アキちゃんも一緒じゃないと!」
<確かに アキにも思い当たる節が ない訳じゃありませんでした>
回想
水口「まだ 17歳だろ? まだまだ 知らない世界が ある訳じゃんか。 君自身 無限の可能性を 秘めてる訳じゃんか。」
回想終了
<だけどだからって… 芸能界なんて 第一 ママが 春子が許してくれる訳がない>
ユイ「『楽しかった』って言ってたよね。」
アキ「え?」
ユイ「お座敷列車。 歌ったり 踊ったり そういうの。」
アキ「うん 楽しかった。」
ユイ「私も楽しかった。」
アキ「でも 仕事にできるとは思えねえ。」
ユイ「そうかな…。 海女さんと そんなに変わんないじゃん。」
アキ「いや 違う。 全然違う。」
ユイ「アキちゃん…。」
アキ「おら ユイちゃんとは違う。 潜りたくて潜ったり 歌いたくて歌ったり それしか できねえ。 プロじゃねえがら 自分のためにしか できねえ。 お座敷列車は… あれは あれで いい思い出にしてえから ごめん。」
回想
(歓声)
♬『来てよ その火を 飛び越えて 砂に書いた アイ ミス ユー』
一同「アイ ミス ユー!」
♬『来てよ タクシー捕まえて 波打ち際の マーメイド』
一同「マーメイド! 早生まれの』
回想終了
天野家
春子「アキ。」
アキ「…え?」
春子「食べないなら それ頂戴~!」
アキ「駄目だ。 おらのハンバーグだ。」
春子「だったら 早く食べなさい。」
かつ枝「あっ 春ちゃん 春ちゃん! 夏ばっぱは!?」
春子「今日 スナックだけど 何?」
長内「さっきまで 銀行の人が来ててよ 海女カフェの話で。」
春子「銀行?」
長内「2,000万 融資するってよ!」
かつ枝「海女カフェ造れるぞ アキ~!」
アキ「じぇじぇじぇじぇ!」
坑道
水口「うわっ…。」