高校
「おはよう!」
「おはようございます。」
<高3の1学期が終わり アキや ユイちゃんにとって 人生最後の夏休みが やって来ます>
磯野「あ~ それから 3年生は就職活動もあるし 実習船にも乗るし 夏休みだからって 気を抜くんじゃねえぞ! あ~ それから 先生は基本的に学校にします。 潜りたくなったら来い! あ~ それから…。」
アキ「もう いい加減にしてけろや いっそん!」
磯野「え?」
アキ「『あ~ それから それから』って!」
磯野「何?」
アキ「今日は秋田から団体客が来んだ! 夏休みの方が忙しいんだ! それなのに オチも山もねえ話 ダラダラと! 手短に頼む。」
桜庭「んだ!」
磯野「…以上で~す。」
海女カフェ
「うわ~ いっぱい入ってる!」
「お~ 入ってる 入ってる!」
「あ~ すごいね!」
「はい ありがとう! うんめえ!」
アキ「花巻さん ちょっと浜さ出てきます!」
花巻「おう いっぺえ取ってこいよ。」
ヒロシ「ちょ ちょっと すいません!」
アキ「(舌打ち)」
ヒロシ「えっ『チッ』って…。」
アキ「いらっしゃいませ。」
ヒロシ「『チッ』って 一応 客なんだけど。」
アキ「だって やっと 潜れると思ったのに…。 ご注文は?」
ヒロシ「えっと この海女ランチって何ですか?」
アキ「まめぶと お握り。」
ヒロシ「海女プレートは?」
アキ「まめぶとパン。」
ヒロシ「海女セットは?」
アキ「まめぶとプリン。」
ヒロシ「…コーヒー下さい。」
アキ「(舌打ち)花巻さん この人 コーヒーだけ。」
花巻「(舌打ち)コーヒー!」
ヒロシ「この間は ごめんね。 ユイが迷惑かけて。」
アキ「ああ いえいえ。」
ヒロシ「家帰っても 大げんかして 大変だったんだよ。」
アキ「じぇじぇ!」
回想
功「もう一度 言ってみなさい。」
ユイ「お母さんみたいに なりたくないって言ったの。」
功「ユイ お前 それ どういう意味だ?」
ユイ「これからって時に 結婚したんでしょ?」
よしえ「やめなさい ユイ。」
ユイ「だって 女子アナ2年目だったんでしょ? お父さんと出会わなければ 全然違う人生が待ってた訳じゃん。」
よしえ「やめて。」
ユイ「それなのに こんな田舎で こんな山奥で だっさいポロシャツ着て 残念なエプロンして シチュー作って そんなふうに なりたくないって 言ってんの!」
ヒロシ「いい加減にしろよ。」
ユイ「顔は やめてよ!」
ヒロシ「何様のつもりだよ お前! 家族に迷惑かけて 大騒ぎして 東京行って そんなんで どうにかなるかよ。 なんねえよ! そんなに甘くねえよ! 痛っ!」
功「お前が言っても説得力ない。 ユイ 東京行こうが 芸能人になろうが お前の好きにすればいい。 でもな かあさんを悪く言うな。 それだけは ホントに許さないからな。」
功「泣くな。」
よしえ「ごめんなさい。 ごめんなさい…。」
回想終了
アキ「それ 修羅場でねえか。」
ヒロシ「まあ 俺が出てった時も そんな感じだったから。 それにしても どうしちゃったのかな。 あいつ 急に焦って ソワソワして…。」
<ストーブさんは まだ知らないのです。 この町に スカウトマンが潜伏している事を>
美寿々「東京に彼氏がいるからでねえか? なっ!」
花巻「種市君か。」
<ストーブさんだけじゃない 美寿々さんも 花巻さんも>