連続テレビ小説「あまちゃん」60回「おら、スカウトされる!?」

スナック・梨明日

ヒロシ「うん あ そう。 分かった。 じゃ また連絡する。 うん はい。 はいはい。 母からでした。 アキちゃんちに お邪魔してるって。」

春子「あ そう。」

(ドアが開く音)

菅原「連絡取れた?」

大吉「いや そっちは?」

菅原「国道沿いの ファミレスとコンビニで 聞いてきたけど 誰も見てないって。」

吉田「もう 東京さ行ったかも しれませんね。」

菅原「吉田君 そんな縁起でもねえ事 言わねえで!」

大吉「んだ。 仮にもユイちゃんは ミス北鉄だぞ! 万が一 故郷を捨てるとしても 北鉄さ乗って 行くはずだ。」

吉田「んだ。」

春子「いや~!」

ヒロシ「勉さん。」

大吉「あ?」

勉「皆さん うちの弟子が 大変 お騒がせしました。」

菅原「うん まだ騒ぎ 収まってないけど。」

勉「問い詰めたら 白状しました。 やはり ユイちゃんと アキちゃんをスカウトするために 派遣されたそうです。 琥珀… 琥珀には これっぽっちも 興味がねえと。 考古学を研究してたっつうのも 真っ赤な嘘だと。」

春子「泣かないで 勉さん 一つも悪くないから。」

勉「いやいや! 何もかも おら まいた種だ。 もう金輪際 この店には来ません。」

大吉「勉さん!」

吉田「そういう話じゃないでしょう。」

勉「大好きな皆さんに これ以上 迷惑かけられねえ。 水口もアパートを引き払い 今晩中に車で 東京さ帰るそうです。 おらも明日からは 穴さ籠もって 琥珀だけを。」

一同「じぇ!」

勉「俗世間に交わる事なく 琥珀を愛し 琥珀と向き合い。」

大吉「勉さん おい 勉さん!」

勉「はい。」

大吉「今 何つったよ?」

勉「琥珀を愛し琥珀と向き合い…。」

大吉「違う! あんたじゃんくて水口!」

勉「ああ! 水口君は これっぽっちも 琥珀に興味がねえ。」

吉田「わざとか! わざとやってんのか じじい!」

ヒロシ「水口さん 車で東京帰るんですね? 今夜。」

勉「はい。 そう言ってました。」

大吉「モータリゼーションめ!」

菅原「先輩 どうするべ?」

大吉「封鎖だ 国道45号線 封鎖だ!」

菅原「よし! 組合長に連絡!」

海女カフェ

水口「ごめん 遅れて。」

ユイ「大丈夫ですか?」

水口「あ…。 ちょっと いろいろ。 じゃ 行こうか。」

(サイレン)

(スピーカー・長内)『国道45号線 封鎖します!』。

天野家

夏「何だ 何だ?」

(スピーカー・長内)『国道45号線 封鎖します! 繰り返します!』。

夏「何だ? この騒ぎ!」

(スピーカー・長内)『国道45号線 封鎖しま~す!』。

夏「大変だ 大変だ!」

海女カフェ

水口「やばい 一旦戻ろう。」

長内「中に誰かいる! 誰だ? こら!」

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