連続テレビ小説「あまちゃん」6回「おら、この海が好きだ!」

天野家

春子「ホントに あんたは どうして 私の 嫌いなもんばっかり 好きになるんだろうね。 本気なの?」

春子「甘くないんだよ ホントに。 だから24年間 誰もやってないの。 水は冷たいし 溺れたりもするし。」

アキ「分かってる!」

春子「分かってないよ。」

アキ「分かってないよ。 だって やってみなきゃ 分かんないじゃん。 だから やるの。」

春子「いい事なんか 一つもないよ。」

アキ「それも やってみなきゃ 分かんない!」

春子「参ったな どうしよ。 ママが 小さかった頃ね 今のアキなんかより もっともっと ちっちゃかった頃 おばあちゃんに くっついて しょっちゅう 浜に出てたの。」

春子「海 見てるとさ 不安になるのよ。 お母さん このまま 顔 出さないんじゃないかって。 流されて 死んじゃったんじゃないかって。 お母さんが 海から顔出すと ほっとするの。」

回想

春子「お母さん!」

回想終了

春子「でも またすぐに 潜っちゃうでしょう。 また すごく不安になって。 その繰り返し。 それがね ママの 一番古い記憶。」

アキ「お父さんは?」

春子「遠洋漁業の漁師ってね 一年のうち 家にいるのは 10日くらいで すぐまた 漁に行っちゃうの。 ま この辺りは みんな そうだったし そういうもんなのかなって 思ってたけど やっぱり 寂しくってね。」

春子「でね 小学校の高学年になると ママも 強制的に潜らされた。」

回想

春子「やだ!」

夏「袖の女子のくせに 行け!」

回想終了

春子「嫌で嫌で しょうがなかったけど おばあちゃんには 逆らえなかった。」

アキ「何で?」

春子「怖かったのよ。 今より全然。 そうだよねえ!」

春子「ふん! 出たよ 得意の寝たふり。 都合悪くなると いっつも そうなんだかから。 高校卒業したら 海女やるんだろうなって 周りも思ってたし 自分でも半分くらい 諦めてた。 でも そんな悠長な事 言ってられなくなっちゃったんだよね。」

アキ「え?」

春子「高3の夏 海開きの前の日 組合長が 市長を連れて 訪ねてきたの。」

回想

1984(昭和59年)

長内「こちら 北三陸市の 市長さん 知ってるべ?」

市長「明日 北三陸鉄道が 開通すれば 観光客も増える。 東京からも 人が来る。」

春子「東京。」

市長「んだ。 北鉄は 東京さつながってんだ。」

長内「新聞やテレビの取材も来る。 ちょうど 海開きで 袖が浜の海女も 注目される。 こんなチャンス めったにねえべ!」

春子「でも まだ高校生だし。」

かつ枝「高校生だから ニュースに なんだよ。」

弥生「おめえしかいねえんだ。 春子! 頼む! ほれ。」

かつ枝「んだ 袖が浜の未来のためだ。 頼む!」

長内「頼む!」

かつ枝「潜ってけろ!」

回想終了

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