連続テレビ小説「あまちゃん」85回「おらの仁義なき戦い」

水口「なるほど。」

さとみ「まだ 15歳ですよ。 高校受験も控えてます。 クビになったら 親子ともども 路頭に迷うんです!」

水口「なるほど なるほど 返す言葉もありません。」

黒川「聞けば お母さん 旦那さんと離婚して 上京する準備を…。」

さとみ「必死なんです 私たち! この子に懸けてるんです! こった 中途半端な形で 解雇だなんて 納得いかねえ。」

水口「41位以下ならね。」

さとみ「はい?」

水口「そのかわり 20位以内に入れば レギュラーに昇格します。」

さとみ「まさか! アハハッ。」

水口「『まさか!』って何ですか? いくら かわいい娘さんでも そこまで かわいくないという意味ですか?」

黒川「おい!」

しおり「水口さん 言い過ぎ。」

水口「41位以下 すなわち 解雇になるという前提で 抗議にいらっしゃったんですか? そんなの 徒競走の順位を 発表するなって言ってる親と 一緒じゃないですか。 小学校の運動会じゃあるまいし…。 芸能界は そんなに 甘いところじゃないんです。 うちのやり方が気に食わないなら 辞退してもらっても構いません。」

黒川「辞退?」

水口「ええ 参加しないで下さい。 そしたら ほかの子に チャンスが回りますから。」

さとみ「それは 田舎さ帰れって意味ですか?」

水口「あるいは もっと なまぬるいプロダクションで 飼いコロしにされるかですね。」

一同「…。」

水口「すいません。 僕も初めは フェアーじゃないと思いました。 アメ女お同じ土俵で戦うには この6人 経験値も知名度もなさすぎる。 でも だからこそ ランクインしたら『こいつ誰?』ってなる訳ですよ! ねえ? ねえ! 田舎者で なまってる 無名の新人が そろって 上位に食い込んだら 面白いだろ!? なあ? なあ? なあ!」

アキ「はい!」

一同「…。」

アキ「あれ? じぇ! 今の『はい!』は 合いの手だと思って下さい。」

水口「分かった。 じゃあ この中から 一人でも クビになる奴(やつ)が出たら 俺も一緒に辞める。」

一同「えっ!?」

水口「責任取って俺も解雇にしてもらう。 どうですか? お母さん。 6人全員 40位以内に入れるように 自分も死ぬ気で頑張りますから。」

<知らねがった。 水口さんが そこまで おらたちに懸けてたなんて。 無表情で分かりづれえけど そこそこ 熱い人なんだ>

東京EDOシアター前

黒川「ごめんな。」

アキ「何が?」

黒川「近くにいるのに 何もしてあげられなくて…。」

アキ「いいよ 別に。 パパにはパパの生活があるもんね。」

黒川「別れた。」

アキ「え?」

黒川「この間 マンションにいただろ 女。 同窓会の女。 別れたよ。」

アキ「じぇじぇじぇ!」

黒川「振られたんじゃないぞ! …かと言って パパが振った訳でもない。」

鈴鹿「いわゆる フェードアウトってやつ?」

黒川「いや ちゃんと話をしました。 それで 別れたんだ。」

鈴鹿「同窓会の魔法が 解けてしまったんでしょうね。」

黒川「そうでしょうね。 そして やっぱり 妻を愛してるんでしょうね。 誰!?」

アキ「どうも。」

鈴鹿「月島方面にやって下さい。」

アキ「この人 父です。」

鈴鹿「あら そうなの。」

アキ「おら 今 この人の付き人してんだ。」

黒川「へえ~ そうですか。」

アキ「じゃあ またね パパ。 気を付けてね。」

黒川「おい おい! あの 月島まで…。」

(クラクション)

黒川「す… 鈴鹿ひろ美じゃん。」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク