連続テレビ小説「あまちゃん」99回「おら、悲しみがとまらねぇ」

アキ「種市先輩には 随分前に振られましたから。」

鈴鹿「でも好きなんでしょ?」

アキ「でも おらたち GMTは 恋愛御法度ですから。」

鈴鹿「バレなきゃ平気よ。 みんな やってるわよ。」

アキ「そうなんですか?」

鈴鹿「お盛んよ。 もう合コン三昧! 合コンのために 仕事してるようなもんよ!」

アキ「じぇじぇ。」

鈴鹿「バレてもね しらばっくれてりゃいいの。『男性がいるとは 知りませんでした』とか。 ハッハッハッハッ ちゃんちゃら おかしい そんな言い訳。 でも 通用するのよ。 それが 芸能界なの。」

アキ「ちょっと 飲み過ぎじゃねえですか?」

鈴鹿「太巻さんが 恋愛御法度に こだわる理由 教えてあげよっか。」

アキ「え?」

鈴鹿「私のせいなのよね。 実は…。」

アキ「ちょっと待ってけろ! その話 おらが聞いても…。」

鈴鹿「私たち 昔 つきあってたの。」

アキ「うわ~ 聞いちゃった! じぇじぇじぇじぇ~! もう遅い。 どうすべ?」

鈴鹿「大丈夫よ。 割と有名な話だから。 ねえ 大将? た…。」

種市「た… 大将! 大将!」

梅頭「あっ 何だ? うん?」

鈴鹿「デビュー 間もない頃 まだ 大きな事務所にいた頃ね。 彼 下っ端のマネージャーだったんだけど ほら『潮騒のメモリー』が大ヒットして あっという間に チーフに昇格して。 そのころ アハハッ 私の方から 交際を申し込んだんです。 イッヒヒヒヒヒ。」

アキ「はい。」

鈴鹿「断れないよね。 事務所も公認だったのよ。 変な虫がつくより ましだって。 当時 私は 歌なんか さっさとやめて 女優に転向したくて。 もともと 彼は 音楽畑だったんだけど 私が 独立したいって言ったの。 随分 迷ったみたいよ 彼。 ずっと 目をかけてた アイドル志望の子もいたみたいだし。」

アキ「ちょっと 待ってけろ! それ いつの話?」

鈴鹿「あ~? いつだったかな…。」

アキ「思い出してけろ なるべく正確に!」

鈴鹿「うん?」

回想

回想終了

鈴鹿「平成元年だわ。」

<ママだ。 間違いねえ>

鈴鹿「でも その子は 結局 デビューできなかったみたい。」

回想

荒巻「もうちょっと やってみないか?」

春子「だったら お願いがあります。」

荒巻「何 何?」

春子「『潮騒のメモリー』を歌わせて下さい。」

荒巻「え?」

春子「私のデビュー曲です。 もう一度 あの歌を歌わせて下さい。 今度は 自分の名前で。」

回想終了

鈴鹿「厚かましい女よね。 そんなの 私が許可する訳ない。 聞くまでもないって 彼 よ~く分かってたわ。」

<違う。 ママには 歌う権利があったんです>

鈴鹿「だから 私に代わって 太巻が ノーを出した訳。」

回想

荒巻「君には プライドってものが ないの?」

(テーブルをたたく音)

春子「プライドなんて あるに決まってるじゃない。 なかったら とっくに諦めてます! プライドあるから このままじゃ終われないから! 今日まで あんたの言う事 聞いてきたんです! バカにしないでよ!」

回想終了

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