そして…
浩二「俺 まきちゃんさ 何か悪いこと言ったかな?」
裕一「いや… 浩二はね 彼女のこと 応援するって言っただけだから!」
浩二「だよね?」
裕一「そうだよ。 浩二はね あの… 悪くないよ。 んん…。」
浩二「相変わらず 酒 弱えな。 昔と ちっとも変わってねえ。」
音「アハハ…。 そういえば 浩二さん 3年以内に お嫁さん見つけるって言ってましたけど あれ どうなりました?」
浩二「そだこと言ったっけな?」
音「言いましたよ フフフ。 本当は まき子さん 応援してほしかったんじゃなくて 止めてほしかったんじゃないかなって。」
浩二「俺に? 何で?」
音「何でって… 本音は行きたくないからでしょ? 浩二さんだって まき子さんが東京に行く って聞いて どう思われました?」
浩二「それは…。」
音「浩二さん このまま まき子さん 行かせてもいいんですか?」
浩二「俺… 俺は…。 俺は…。 はあ…。 やっぱし駄目だ…。 まきちゃんは大事な 仕事先の一人娘だから…。 俺だって 父さんに誓ったんだ この家 継いで守るって。 だから… お互いの立場無視して そだ勝手なまねごとなんかできねえ。」
音「ぐだぐだ言わない! 浩二さん 本当に後悔しません? やらずに後悔するより やって後悔した方がいい! うん!」
林檎園
浩二「まきちゃん!」
まき子「どしたの?」
浩二「行くな…。 東京 行くな!」
まき子「何言ってんの?」
浩二「まきちゃんに忘れらんねえ人がいんのは 分かってる。 だけど 大好きなりんご捨てて 東京行くことねえよ。 俺のそばさ いてほしい。」
まき子「本気で言ってんの?」
浩二「本気だ。」
まき子「浩二さん…。 また来年も りんごの花咲くの… 私と一緒に見てくれる?」
浩二「見るよ。」
まき子「再来年も その先も ここで一緒に…。」
浩二「約束だ… 約束だ。」
畠山「東京行き 断っただ!? 先方は 何っつってんだ?」
まき子「訳 話したら なんとか分かってくれた。」
畠山「訳って何だ?」
まき子「私 一緒になりたい人がいんの。」
畠山「はあ!? ど… どこの どいつだ!」
まき子「入って。」
畠山「はあ? 入って…?」
浩二「失礼します。」
畠山「お~ 浩二 聞いてくれよ…。」
喜多一
浩二「家継いだ身で 勝手なこと言ってんのは分かってる。 でも まきちゃん 一人娘出し農園には男手が必要なんだ。 どうか… 婿になること 許して下さい。」
まさ「浩二は それでいいの?」
浩二「畠山さんの思いに応えたい。」
まさ「だったら そのお話 謹んでお受けしなさい。」
浩二「ありがとう… 母さん。」