会場の前
音「開会式 見たくないの? あなたの曲を 世界中の人が聴くのよ。 ずっと かなえたかった夢でしょ?」
裕一「うん。」
音「よし… 行こう。」
裕一「あ~ 駄目だ やっぱり!」
音「えっ!? もう!」
裕一「駄目だ…。 駄目だって。
音「もう!」
裕一「駄目! ちょっと待って!」
音「ちょっと… もう! 手伝って。」
裕一「ちょっと…。」
音「あ~ いたた…。」
裕一「ちょっと待って!ちょっと 心の準備…。」
音「痛い 痛い!」
裕一「あっ!」
音「裕一さん。 裕一さん!」
裕一「はい。」
大会関係者「後に2分 切りました」
警備員「先生。自分は 長崎の出身であります。 親や兄弟 親戚 みんな死んだとです。生きる希望ば与えてくれたとは 先生の『長崎の鐘』です。」
警備員「先生の曲は 人の心ば励まし 応援してくれます。 先生の晴れ舞台ですけん どうか… どうか 会場で!」
音「どうする?」
裕一「行こう。 ありがとう」
警備員「よか夫婦ですね。」
大会関係者「おしどり夫婦って感じとは 違うんですけどね フフッ。」
会場に向かう2人
音「いよいよね。」
裕一「ああ。」
この夫婦が いかにして このような2人になったのか そこには 長い長い話しがありました。
明治42年8月 福島市内
全ては 福島の 老舗呉服屋さんから始まりました。
三郎「うお~! 生まれだ! 生まれだ! 生まれたべ~! ハハハハハ!」
産婆「それにしても 旦那さん どごさ行ったのかしらね?」
まさ「フフッ。」
音楽が奏でる人生の物語『エール』。 始まり 始まり~!