裕一の仕事場
裕一「この前も聞いたけど どうして僕なの?」
五郎「♬『紺碧の空 仰ぐ日輪』 つらい時は いつも この歌に励まされてきました。」
裕一に楽譜を手渡す五郎
五郎「レコードを聴いて 書いたもんです。」
裕一「正確だね。 いい耳してるんだね。」
五郎「ありがとうございます。」
裕一「家族だったり奉公先は賛成なの?」
五郎「家族は… みんな ちりぢりです。 奉公先からは 逃げてきました。 僕 飯 食いません。 その辺の葉っぱ 食いますから。」
裕一「葉っぱ?」
五郎「部屋も布団も要りません。 ここでいいです。 いえ… 庭で寝ます。 野犬がいないから安らかに寝られます。」
裕一「いや 五郎君 あの…。」
五郎「早くに親に売られた僕には ずっと居場所がありませんでした。 先生のそばに置いて下さい! ご迷惑かけません! 一所懸命やります! どうか お願いします!」
裕一「五郎君…。 やめて… やめて ほら ちょっと立って。 立って ほら… 五郎君…。 分かった。 君を弟子にする。」
五郎「先生~!」
裕一「おっとっと…。」
音「ちょっと待った!」
裕一「おっ?」
寝室
裕一「文藝ノ友新人賞!? すごいじゃん!」
音「それは うれしいんだけど うちで執筆活動続けるって言うの。」
裕一「こ… ここ!?」
音「そう。」
居間
梅「これ どうぞ。」
華「ちくわ! 食べていい?」
梅「どうぞ。」
華「ありがとう 梅叔母さん。」
梅「おばさん?」
寝室
裕一「ねえ… 吟義姉さんところは?」
音「あっちは… 息が詰まるって。」
裕一「え~? どうしよう…。」
音「年頃の2人が いきなり同居って まずいよね~?」
裕一「え~ 五郎君と?」
音「梅。」
想像中
五郎「梅。」
梅「五郎さん。」
想像終了
裕一「ああっ! ない ない ない。」
音「ないな。」
裕一「じゃあ いい?」
音「こちらも いい?」
裕一「う~ん にぎやかで楽しいんじゃない?」
音「食費はかかるけどね。」
裕一「うん…。」