関内馬具
岩城「違うわ! ここは こうちゅうて言うとるだら!」
五郎「はい!」
光子「でも… 随分 手慣れてきたわよね?」
梅「最初に比べればね。」
光子「うん!」
五郎「あの… ここは これで大丈夫ですよね?」
岩城「はあ?」
五郎「あっ… いや…。」
岩城「これで合っとる。」
五郎「よかった。」
光子「岩城さん 五郎ちゃんのこと 気に入っとるみたい。 随分 仕事も早うなったし 仕上がりだって丁寧だし。 もう そろそろ いいんじゃない?」
梅「いかん! 甘やかすのは 本人のためにならんから。」
光子「お~怖っ。 フフッ。」
夜
梅「まだ やっとったの?」
五郎「うん。 とにかく体にたたき込みてえんだ。 目 つぶってでも できるようにならねえと。」
梅「そんなにできとったら 岩城さん超えちゃいそう。 ちょっと やってみりん。」
五郎「えっ?」
梅「目 つむって。」
梅「頑張りんね。」
一年後
古山家
丸井「丸井と申します。」
裕一「はい。」
丸井「この度はニュース歌謡という企画の ご相談に伺いました。」
裕一「ニュース歌謡ですか?」
丸井「はい。 戦果の盛り上がりを歌で伝える ラジオ番組です。 国民の士気が上がるような曲を是非! 先生の得意分野ですよね?」
裕一「い… いや… 得意かどうかは。」
丸井「またまた ご謙遜を! 愛国歌謡といえば古山裕一でしょう。」
裕一「いえいえ 僕は もう ただ 頂いた仕事を精いっぱい頑張るだけです。」
丸井「いやいや… もう 先生以外 考えられません。 お願いします。」
裕一「拝見します。」