打越家
打越「この度は大変ご愁傷様でした。ええ男を亡くしましたのー」
光子「打越さんには生前から大変お世話になっておりました。それで今後も変わらずご贔屓に願いたいと思いまして」
打越「なんだ?商売を続けんさるおつもりかね?」
光子「もちろんです、でないと生活出来ません。私が主人に代わって」
打越「職人の世界を女が仕切れるか?それに納品先の陸軍さんも女なんか相手にせんだら?」
光子「遮二無二頑張るつもりです」
打越「女子供に出来るほど商売は甘くないに!どうだ?儂と一緒にやらんか?儂が色々面倒見たるで?関内さんが軍をさられて何年になるかや?」
光子「10年です」
打越「そうか、そんなんなるか?そろそろ契約を見直さないといけん時期ですな」
光子「は?」
打越「いやね、他にも元軍人の馬具屋はおるでね。儂がまあ、何とか抑えとるけど普通は契約終了だに。まだお子さんも小っちゃいだら?まあ一遍儂の申し出よく考えてみとくれ」
それから光子は取引先を周りました。
しかし主が亡くなった馬具店と
商売を続けようという
ところはありませんでした
光子「このまま契約を切らないでください。お願いいたします」
一方竹取物語の稽古は大詰めを迎えておりました。
良子「バカみたい。熱い、重たい」
熊谷「神崎、どうした?」
良子「最後月に帰るなんて変だと思うんです。私なら帝と結婚します」
熊谷「竹取物語はそういうもんだろ?」
良子「私にはわからんので出来ません」
熊谷「おい、神崎」
音「良子ちゃん、やろ」
良子「うるさい!あんたが休んどった間もずっと稽古しとったの。おじいさん2は口出さんで!」
音「ごめん」
たえ「ひどい、音ちゃんにあやまり?」
良子「やだ!そもそも、あんたが竹取物語なんて言い出すもんでこんなことになんのよ」
良子「内んところはね、親戚中が見に来るの。失敗したら、なんて言われるか」
音「見に来てもらえるだけいいじゃん!」
その場を去る音
熊谷「おい関内、待て」
関内家
音「ただいま」
吟「音、大変!職人さんが辞めた、みんな!」
音「え?」
吟「陸軍さんから契約切られて、それで」
音「岩城も?」
関内家の墓で岩城を見つける音
音「逃げるんですか?」
岩城「女子供にはわからん」
音「お父さんの世話になってたんじゃないんですか?」
岩城「職人は仕事が無きゃ食って行かれん」
家に帰ってきた音
音「ただいま」
光子「おかえり!何処行っとったん?心配した」
音「岩城、見つけた。あいつも逃げた」
光子「仕方ないわ。みんなそれぞれ人生あるもの」
音「お母さん、内…大丈夫?
光子「んーかなりマズ…イー」