連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第10話「ご縁の糸」

試食販売会

(会場のざわめき)

布美枝「うわ~!」

チヨ子「フミちゃん! こっち こっち! 悪かったね うちの人が 急に言うもんだけん。」

布美枝「なあ この人達 みんな お客さんかね?」

チヨ子「大勢 詰めかけとって もう大変だわ!」

布美枝「ラーメン 作るだけだよね? 『私にもできる仕事』って 言っちょったよね!」

チヨ子「フミちゃんなら すぐ できるが。 ええから 早く こっち来て!」

販売員「料理いうほどの もんでもないけん。 こげして お湯入れて ふたしといたら 誰でも できるが。」

布美枝「はい!」

販売員「2分たったら 小鉢に取り分けて。 食べてみてごしない。」

布美枝「おいしい!」

販売員「お客さんに うまい事 すすめ~だよ。 1個35円。 店で食べるラーメンより 安くて おいしい。 ここ 強調して売ってごしない。」

布美枝「売るんかね? 作るだけじゃなくて…。」

販売員「お釣りは 手もとの箱に入っとるけん よろしく頼むけんね。 う~ん 危ないがね! 気をつけて!」

飯田家

貴司「俺 ちょっこし出てくるけん。 店 見とってな。」

源兵衛「布美枝は どげした?」

ミヤコ「ああ 『チヨちゃんの手伝いだ』 言って さっき 出かけましたわ。」

貴司「即席ラーメンの実演販売だけな。」

源兵衛「実演販売? そげな事 布美枝に できんのか?」

ミヤコ「う~ん あの子 料理は 上手ですけん。」

源兵衛「だらず! 『実演販売』言うたら ガマの油売りや バナナのたたき売り みたいなもんだわ。 うまい事やらんと 売れるもんも売れんのだぞ!」

ミヤコ「そげですか?」

源兵衛「お得意さん相手に うちで 酒 売るのとは 訳が違う。 そげなとこ行ったら 布美枝が 恥かくだけだわ!」

ミヤコ「あら…!」

試食販売会

布美枝「うわ!」

販売員「どうぞ~! こっちでも 作りますけん!」

客達「あ~っ こっち こっち!」

販売員「お客さん 待たせとるけん 早(はや)こと してね。」

布美枝「はい…。」

チヨ子「奥さんも 食べてみて ほんと おいしいけん!」

布美枝「チヨちゃん これじゃ 話と違うわ…。」

客1「ちょっと おねえさん! 早ことして!」

布美枝「はい。」

客1「あんた 手 震えとるよ。」

布美枝「お待たせしました。」

客1「箸は?」

布美枝「あ 箸…。」

客達「あ~! あ~あ!」

販売員「慌てんでね。」

布美枝「はい!」

客2「は~あ あっち並んどったら もう試食できとったなあ!」

客3「私のは? 待っとるんだけど!」

布美枝「あ~ はい どうぞ!」

客3「ちょっと 気ぃつけ~だわ!」

布美枝「すいません! すいません すいません。」

客4「おねえさん! これ 3つ もらうわ。」

布美枝「あ ありがとうございます。」

客4「やっぱり 5つにするかな。 いくら?」

布美枝「5つですか…。」

販売員「はっ! あんた ほら! 子供が ほら!」

布美枝「あっ それ! 勝手み持ってったら いけんよ! あっ キャッ!」

一同「あ~あ!」

販売員「あんた 何しとるの~?!」

布美枝「すんません!」

客3「手際 悪いねえ! ラーメンと 一緒で 売り子さんも即席かね?」

(一同の笑い声)

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