客間
船山「実は この曲のお陰で テレビ化の企画が ぐっと進展を見せました。」
茂「おう そうですか!」
船山「前から辺りをつけていた テレビ局に デモテープを持っていったんです。 『番組の主題歌は もう出来てます』とね。」
茂「はい。」
船山「向こうも乗ってきましたよ。 編成部長から 号令が かかって スポンサーを探しに動き始めました。 ところが… 壁にぶつかりました。」
茂「えっ?」
船山「墓場が いけないようです。 『縁起が悪い』と言って どうしても スポンサーが見つからない。」
茂「う~ん…。」
豊川「そこで ご相談なんですが…。 思い切って タイトルを変えませんか?」
茂「えっ タイトルを変える?」
豊川「墓場を やめましょう!」
茂「どれも パッとせんですなあ。」
豊川「少し時間を置いてみますか。」
茂「ええ。」
藍子「♬『ゲッ ゲッ ゲゲゲのゲー (藍子の鼻歌)』」
豊川「そういえば 漫画の中でも 虫達が よく ゲゲゲって 歌ってますよねえ。 これ 何ですかねえ?」
茂「何って…。 鬼太郎の活躍を たたえる歌ですよ。」
豊川「あ いや それが 何で ゲゲゲなのかなあと…。」
茂「これは 自分の事です。」
豊川 船山「え~?」
茂「子供の頃 茂と言えなくて ゲゲルと言っとったんですよ。 それが 今では 昔なじみも 『ゲゲ』と呼ぶようになって…。」
(船山の笑い声)
豊川「それだ!」
茂「え?」
豊川「『ゲゲゲの鬼太郎』。 これで どうです?!」
船山「『ゲゲゲの鬼太郎』?」
布美枝「『ゲゲゲの鬼太郎』…。」
茂「ああ… ええですなあ。 これで いきましょう!」
船山「ああ 決まりですね。」
<あの『ゲゲゲの鬼太郎』という 題名には 『茂の鬼太郎』という 隠された意味が あったのでした>
布美枝「『ゲゲゲの鬼太郎』か…。」
<そして その夜の事…>
玄関
(ノック)
布美枝「どなたですか?」
深沢「深沢です。」
布美枝「深沢さん? どうしたんですか その恰好?! あっ! だ 大丈夫ですか? お父ちゃん! お父ちゃん 大変!」