連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第114話「鬼太郎ブームがはじまった」

台所

布美枝「境港のお父さん達 こっちに出てくるんですか?」

茂「今朝 兄貴のとこに 電話があったそうだ。」

雄一「『子供も孫も みんな 東京におるのに 年寄り2人 境港にいる事はない』と 言うんだ。」

布美枝「はあ…。」

茂「秋から冬は こっちで暮らしたいらしいぞ。 境港は 西風が吹いて 年寄りには こたえるけん。」

布美枝「冬の間の別荘みたいなもんですね。」

茂「別荘? そりゃええな。」

(2人の笑い声)

雄一「笑い事じゃないぞ! イカルは 『3人の家を 順番に 泊まって回る』と言っとるが…。」

布美枝「順番に…。」

雄一「うちは 厳しい。 都営住宅で 狭いし 風呂もない。」

布美枝「お姉さんは 何て? さっきまで ここにおったが なんか急に 『頭痛がする』と言って 帰ってった。」

布美枝「まあ…。」

雄一「光男。 お前のとこは どうだ?」

光男「うちは マンションで狭いけん。 それに 前に 1週間ほど 九州に 泊まってった事があったんだが 俺も かみさんも ほとほと疲れた。」

布美枝「まあ…。」

雄一「やっぱり 茂のとこだな。」

光男「うん。」

茂「待て待て! うちも狭い。 それに アシスタントもおるし 出版社の人間も出入りするけん どげなトラブルが起こるか分からん。 第一! 俺は 忙しくて とても 相手にしとる暇はないわ。」

雄一「誰も お前の事なぞ あてにしとらん。」

茂「何?」

雄一「布美枝さんしか おらんだろう。」

菅井「光男さん テレビ局から 取材依頼の電話 来てます。」

光男「ああ 今 行く。」

菅井「あと 先生も そろそろ お願いします。 『8時には 原稿 取りに来る』って 言ってました。」

茂「ああ 分かった。」

雄一「よし。 この件については また 日を改めて 協議するか。」

茂「うん。」

仕事部屋

茂「同居といってもなあ…。 せめて もう1つ 2つ 部屋がないと。」

2階

布美枝「あった あった… よいしょ。 お母さん 戦争中でも よう大事に取っといたもんだなあ。」

藍子「これ な~に?」

布美枝「お父ちゃんが 子供の頃に 描いとった絵だよ。」

藍子「ふ~ん。」

布美枝「これが 境水道。」

回想

絹代「これ… 復員してくる前に 茂が送ってきた葉書。 茂を よろしく頼みますね。 あげな息子だけど 末永く!」

回想終了

布美枝「『末永く』か…。」

玄関前

布美枝「虹!」

倉田「奥さん 奥さん! 見て下さい! ほら! 大賞 倉田圭一…。 えっ! 倉田さん?」

倉田「はい! 大賞です!」

布美枝「おめでとうございます!」

倉田「やりました! 奥さん。 ハハハハハ。 やった~! やったぞ~! ハハハ。」

布美枝「おめでとうございます。」

仕事部屋

菅井「これで クラさんも プロとして 独り立ちか。」

茂「うん。 講評も ええようだし これなら 連載も決まるだろう。」

倉田「はい…。」

小峰「おめでとう!」

倉田「おおきに!」

(電話の呼び鈴)

光男「はい 水木プロです。 『マンガウィーク』さん? 来月 読み切り 1本ですか? 32ページで はい はい…。」

菅井「うちは どうなるの? 先生 仕事 断らないし。 クラさん いなくたって やっていけるのかなあ。」

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