中学校
女子達「やっぱり秀樹は いいな。」
「マサエちゃんも かわいいよね。」
「私 絶対に 俊ちゃんが いい。」
「え~っ マッチの方が いいじゃん。」
「ねえ B組の松原君ってさ ちょっと マッチに似てない?」
(女子達の話し声)
女子A「ねえ 村井さんは どっち派? 何 読んでるの? 漫画? え! 何それ?!」
女子達「何? 何? うわ~!」
喜子「見る? 昔の人が描いた妖怪の本。」
女子A「気持ち悪い…。」
喜子「そう? 面白いけどね。」
女子B「行こう。」
女子A「村井さん いつも変な本 読んでるね。」
女子B「この前は 魔法の本だったよ。」
女子C「マッチも俊ちゃんも 知らなそう。」
喜子「(笑い声)」
女子A「何で笑ってんの?」
女子「さあ…。」
喜子「『ぬらりひょん』…。」
<喜子が興味を持つものは 同じ年頃の女の子達とは 少し違っていました>
水木家
客間
先生「今日は ここまでね。」
一同「ありがとうございました。」
靖代「ああ 布美枝ちゃんは やっぱり上手だねえ!」
布美枝「そうですか?」
靖代「うん!」
徳子「私のと 何か違くない?」
和枝「同じように習ってるのに 何ででしょうねえ 先生?」
靖代「布美枝ちゃんは 器用だからさ。」
先生「続けていれば 器用な人は よりうまく そうでない方は…。」
徳子「それなりにでしょう!」
和枝「それ テレビのCM!
<半年ほど前から 布美枝達は 月に一度 集まって アートフラワーを習っていました>
布美枝「ありがとうございました。」
茂「おい。」
布美枝「はい。」
徳子「先生 お邪魔してます!」
靖代「お仕事中 ごめんなさいね。 うるさくてねえ。」
茂「ああ ちっとも構わんですよ。」
布美枝「どうかしました?」
茂「ああ あの ハタキどこだ?」
布美枝「仕事部屋の掃除ですか?」
茂「いや そこの楽園の間を ちょっこし片づけとるんだ。」
布美枝「ああ。」
3人「楽園の間?」
布美枝「南方で買った物が たくさん置いてあるので 『楽園の間』なんです。」
徳子「ねえ 何 集めてんの?」
布美枝「あ~ 怖い顔の お面とか あと 人間の髪がついた杖とか。」
3人「嫌だ!」
布美枝「もう掃除しとるんだか 眺めて喜んどるんだか いったん入ったら なかなか出てこないんですよ。」
3人「ふ~ん。」
喜子「ただいま。」
靖代「あら 喜子ちゃん お帰り。」
徳子 和枝「お邪魔してます~。」
茂「ああ 雑巾 出してくれ。」
布美枝「はい。」
喜子「おとうちゃん 楽園の間 片づけてるの?」