連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第13話「たった五日で花嫁に」

道中

絹代「雄一の家 この商店街を 抜けた先でしたねえ。」

修平「せっかく 東京に来たんだけん 歌舞伎座でも のぞいてみんか?」

絹代「はあ?」

修平「新聞で見たが 中村屋の『紅葉狩』 大層ええらしいぞ!」

絹代「何が 歌舞伎座ですか! 息子が あげな有様なのに。 玄関は下駄一足しか ありませんでしたよ。 靴も 買えんのですわ。」

修平「だども 好きな絵を描いて 暮らしちょ~だけん 少し 貧乏しちょっても ええんじゃないか。」

絹代「あのまま一人にしとったら この先 どげなる事だか!」

修平「嫁を取ったら なんとかなるやろ。」

絹代「だらず親だ…。」

修平「お~い 歌舞伎座は どげする? 立ち見なら 金もかからんぞ!」

水木家

(ペンを走らせる音)

(鐘の音)

修平「ああ あと4ページか。」

(鐘の音と汽車の汽笛)

回想

ホーム

昭和二一年 春

(駅のざわめき)

絹代「しげさん おらんですねえ。」

修平「次の汽車かもしれんなあ。 あっ!」

絹代「来た! 茂!」

茂「ただいま 戻りました。」

修平「ご苦労だったなあ。」

絹代「よう戻った。 よう戻った!」

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