連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第142話「人生は活動写真のように」

玄関

志穂「お元気になられたら また お邪魔してもいいですか?」

茂「ああ どうぞ。」

志穂「あのそういえば…。 おじいちゃん どうして 私の事 秘密にしてたんでしょうか?」

茂「ん?」

志穂「私は 皆さん ご存じかと思ってました。」

客間

茂「しかし 驚いたなあ。 イトツが あの話の続きを 書こうとしてたとは。」

布美枝「『第三丸の爆発』ですか?」

茂「おう。 前に話した事あったろう。 子供の頃 あの事件をもとに 大長編作文を書いた話。」

布美枝「聞いた事あります。」

茂「俺のは 冒険活劇に怪奇物が まじったスペクタクルだったが。 たまたま その時 イトツも 『第三丸の爆発』という 同じタイトルの話を書いとったんだ。」

布美枝「知っとったんですか?」

茂「ああ。 しかし 読んで驚いたぞ 船の爆発事故が 新派顔負けの 悲恋物語になっとった。」

布美枝「悲恋物語?」

茂「しかも 案の定 話の途中で終わっとった。」

布美枝「お父さん それを もう一度 書こうとしとられたんですね。」

茂「う~ん。 一学さんの話 聞いて 60年ぶりに やる気に 火がついたんだろう。」

布美枝「張り切っておられたのは 創作意欲に燃えていたからか…。」

茂「うん。 老いらくの恋では なかったな。」

布美枝「けど なして 川西さんの事 秘密にしとられたんですかね? 映画や お芝居を見たり シナリオの相談したり。 そげな事 隠さんでもええのに。」

茂「う~ん ちょっこし デートの気分もあったのかね?」

布美枝「美人が お好きですけんね。」

茂「まあ 少しくらいは ええか。 美人は イトツの活力源だけん。」

布美枝「そげですね。」

両親の部屋

絹代「聞きましたよ 一学さんのお孫さんから。 昔のシナリオの続き また 書くそうですね。」

修平「南無三 ばれたか… う~ん。」

絹代「隠さんでもええのに!」

修平「書き終わるまで 黙っとるつもりだったんだ。 途中で頓挫したら また お前に 嫌み言われるけん。」

絹代「変に コソコソするけん こっちは いらん気を もんでしまいましたわ。」

修平「あ? お前 もしかして やいとったんか?」

絹代「え…。 何 言っとるんですか。 ばかばかしい!」

修平「ふ~ん! ヤキモチか…。」

絹代「ええ加減にして下さい! 今度こそ 最後まで書いてごしなさい! 出来上がったら 私も読ませてもらいますけんね。」

修平「スクリーンに かかるかもしれんぞ。 楽しみにしとれよ。」

絹代「はいはい。」

客間

布美枝「お母さん お父さんの銀ブラの事 気づいてたんじゃないかな…。」

茂「ん?」

布美枝「近頃 ご機嫌が悪かったでしょう。 あれ ヤキモチですよ。」

茂「ヤキモチ? まさか?!」

布美枝「そげですか…?」

茂「う~ん。」

布美枝「あ お茶 いれ替えましょうかね。」

茂「うん。」

布美枝「ヤキモチだと思うけどなあ…。 お母さん ええとこあるわ。」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク