客間
源兵衛「箱根は わしは2度目だが やっぱり ええとこだなあ。」
ミヤコ「紅葉が 色づき始めてましたね。」
源兵衛「富士山が よう見えた。」
布美枝「天気よくて よかったねえ。」
源兵衛「暁子が 用意してくれた 旅館 昔 泊まったとこと 同じ宿でな 宿の人 わしの事 よう覚えとったぞ。」
喜子「旅館の人 すごい記憶力だね。」
源兵衛「わしは 特別だ。」
ミヤコ「何でも 特別が お好きですけんね。」
源兵衛「黙っとれ。 前に 来た時 東京で 胸像を作ってな。」
喜子「胸像?」
源兵衛「ケネディ大統領が 胸像を作ったとこが あると聞いたけん ほんなら わしもと。」
喜子「ケネディと一緒?! さすが おじいちゃん。 ねえ お姉ちゃん!」
藍子「…。」
源兵衛「胸像の話を聞いて 宿の人ら わしの事 陰で 御前様と呼んどったそうでな。 『久しぶりに 御前様が来た』 と言って 刺身を 余計に付けてくれたわ。 ワハハハ…。」
(2人の笑い声)
藍子「…。」
源兵衛「おい 布美枝 どげなっとるんだ?」
布美枝「それが…。」
藍子「私の知らないうちに 見合いの話が進んでたの。 相手の条件まで決めて 申し込むなんて。 やりすぎだよ!」
茂「今 そげな話をするな。 また 後に せえ。」
源兵衛「藍子 そげん怒るな。」
藍子「だって おじいちゃん!」
源兵衛「わしだ!」
藍子「え?」
源兵衛「わしが アドバイスしたんだ。」
ミヤコ「やっぱり。」
布美枝「お父さんが…? あっ!」
回想
源兵衛「村井さん。」
茂「はい。」
回想終了
布美枝「あの時か…。」
藍子「なんで おじいちゃんまで 私の進路を妨害するの? 信じられない。」
喜子「かえって こじれた。」
藍子「邪魔しても 無駄だからね。 みんなが反対しても 私は 先生に…。」
絹代「ただいま!」
ミヤコ「ああ!」
源兵衛「おう。」
絹代「あ~。」
ミヤコ「お邪魔しております。 ごぶさたいたしております。」
絹代「いえいえ こちらこそ。」
源兵衛「どうも この度は…。」
喜子「おばあちゃん いいところに 帰ってきたね。」
布美枝「ほんと!」