連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第14話「たった五日で花嫁に」

水木家

雄一「結局 請け出せたのは 靴だけか?」

茂「餞別に あれ つけてくれたけど。 肝心の背広がなくては どうにもならん。」

雄一「しかたねえなあ!」

茂「おっ! なかなか しゃれてるな。 生地は 舶来でねえか!」

雄一「一張羅だけん 粗末にせんでくれ!」

茂「悪いな 兄貴。」

雄一「しかし お前 こんな事で 結婚して やっていけんのか?」

茂「俺もな もうちっと成功してからと 言っとるんだが イカルが承知せんのだわ。」

回想

絹代「お前が 見合いをすると言うまで 1週間でも 2週間でも ここにおるけん!」

<村井家の兄弟は 母の絹代を『イカル』と あだ名で 呼んでいました。 よく怒る イカルという意味です。 父のあだ名は 『イトツ』。 胃が突出して丈夫の略です>

回想終了

雄一「それは たまらんなあ。」

茂「そげだろ? イカルの事だ 俺が嫁を取るまでは 何度でも 何度でも 突撃を仕掛けてくるだろう。」

雄一「その度に うちに泊まるのか! あ~ かなわん!」

茂「イカルの突撃を阻止する方法は もはや 一つしかない!」

雄一「何だ?」

茂「嫁を取る事だ。」

雄一「え?」

茂「結婚してしまえば もう 嫁を取れとは言われんけん。」

雄一「どっか ねじれとるぞ その理屈は。」

茂「まあ そんな事だけん ひとまず 見合いに行ってくるわ。」

雄一「おう。 餞別でも 包んでやりたいんだが 俺も このところ やりくりが苦しくてな。」

茂「いやいや 兄貴のとこは 子供もおるんだし これ 貸してくれたら 十分だわ。 あっ!」

雄一「どげした?」

茂「すまんけど ワイシャツも 貸してくれんか?」

雄一「(ため息)」

茂「うわ! 見合いから戻ってきたら 1日10ページのペースで描かねば 間に合わん。」

<こうして 出発のギリギリまで 徹夜で 漫画を描いていた茂でしたが…>

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