連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第14話「たった五日で花嫁に」

飯田家

邦子「フミちゃん。」

布美枝「具合はどげかね? 寒くないかね? 布団 もう1枚 掛けようか?」

邦子「ううん。 大丈夫だわ。 それ 靴下? 生まれた子の 編んでくれとるの?」

布美枝「女の子だけん ピンクにしたよ。」

邦子「フフフ!」

布美枝「何?」

邦子「フミちゃんは 大人物かもしれんね。」

布美枝「えっ?」

邦子「リヤカーのおじさん 驚いとったでしょう? 思い出したら おかしてね。」

布美枝「もう! 邦子さん 苦しんどったけん 私 必死で。」

邦子「フフフッ!」

布美枝「おじさん 汗だくに なっちょ~なったね。」

邦子「フミちゃんは 大丈夫だわ。 前に お父さんが言っとられたよ 布美枝は いざとなったら 肝が据わって 思い切った事ができる子だって。 ほんとに それだわ! フミちゃんは いざとなったら 強い。 どこ 行っても やってけるよ! 私の太鼓判 押しとくけん。」

布美枝「邦子さん。」

邦子「自信 持つだわね。」

布美枝「ほんなら この靴下は 自分の子供用にするかな?」

邦子「それは まだ 気が早いわね。」

2人「フフフッ!」

布美枝「そげだわ。」

邦子「うん。」

布美枝「はい。」

(ミヤコと源兵衛の あやす声)

源兵衛「笑っとる。」

ミヤコ「フフフッ。」

源兵衛「じじだぞ~。 かわいいのう! おう 笑た 笑た!」

<家族が1人増えた飯田家は 喜びと慌ただしさの中で 年の瀬を迎え…>

<布美枝の見合いの日取りは 明けて 昭和36年の 1月25日に決まりました>

東京都 調布市

<一方 その頃 東京の調布では…>

質屋

亀田達吉「はいっ!」

茂「なんとか 背広の方も ひとつ。」

達吉「これじゃ 靴が精一杯だよ。 他にも 流れそうな質草が たくさん あんだから。 そこを 私の計らいで止めてんだよ。」

茂「はあ…。 あ ちょっと。 実家までの汽車賃と 当座の生活費を引くと やっぱり これ以上は 出せんなあ。」

達吉「ほんとは 靴 出すんだったら これじゃ 足りないの。」

茂「打ち明けて言えばですね 僕は この後 実家に戻って 見合いをせねばならんのです。」

達吉「見合い? 村井さんは?!」

茂「だから 背広ぐらい着ていかなんと 恰好がつかんでしょう。 両親にも 見合いの相手にも 恥をかかす事になりますけん。」

達吉「まあ そりゃそうだなあ。」

茂「ここは ご主人に 一肌 脱いで頂いて。」

達吉「いや こっちも 商売だから。」

茂「そこを なんとか 餞別のつもりで。」

達吉「餞別?! 何で 私が?」

茂「このとおり!」

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