子供部屋
茂「好きな事をして 生きるのは ええ。 けど 好きと 楽する事は ちょっこし違う。 苦しい事や 嫌な事があっても それでも やらずにおられんのが 本当に好きな事だ。 だけん 迷ったり 悩んだり 落ち込んだり 苦しい思いも してみん事には 好きな事は 何なのか 本当は分からんのだよ。]
茂「人は神さんではないけん 世の中を 思い通りには動かせん。 やるだけ やっても うまくいかない時は ほれ 『好機の到来をまつほかない』。 人間にできるのは それだけだ。 ほい! 闘わずして 土俵を下りるのが 一番 つまらんぞ。」
藍子「うん。」
布美枝「お父ちゃん…。」
玄関
(ドアの開く音)
藍子「行ってきま~す。 よしっ 頑張ろう!」
台所
喜子「お姉ちゃん ちょっと 元気 出たみたいだね。」
布美枝「簡単には いかないけど 『いろいろ 考えて やってみる』って。」
喜子「いろいろって?」
布美枝「う~ん 例えば… 学級通信に 子供の投書欄を作ったり。」
藍子「漫画の読者コーナーみたいなものか。 知恵 絞ってるね。」
布美枝「けど 一番は 『肩の力 抜いて 子供と向き合う事かなあ』って 言っとったよ。」
喜子「ふ~ん…。 でも これで お姉ちゃんが 学校 辞めて プロダクションを手伝う目は 当分 なくなった訳だ。」
布美枝「よその人を雇わんと いかんかもしれんね。」
喜子「お姉ちゃんが やらないなら 私が やろうかな。」
布美枝「え?」
喜子「短大 出たら お父ちゃんの仕事 手伝おうかと思って。 絵は 描けないし あんまり 役に立たないかもしれないけど。」
布美枝「あんた 本気で言っとるの?」
喜子「うん。」
布美枝「お父ちゃんは 喜ぶと思うけど…。 あんたの人生だけん あんたの やりたい事を やればええんだよ。」
喜子「やりたいの! お父ちゃんの漫画大好きだから 手伝えたら うれしいもん。」
布美枝「喜子…。」
喜子「でも まだ 分かんないけどね。 卒業する頃には 他に やりたい事 見つかってるかもしれないし。」
布美枝「ゆっくり決めたら ええんだわ。 うちも 昔みたいに 忙しい訳じゃないけん どうにかなるでしょう。」
喜子「うん。」
仕事部屋
茂「よしっ 決まった!」
光男「やったなあ 兄貴!」
相沢「おめでとうございます!」
菅井「おめでとうございます!」
茂「おおっ お母ちゃん 喜べ! 『鬼太郎』が またテレビアニメになるぞ!」
布美枝「えっ!」
茂「10月12日の夕方から 毎週 放送だ。」
布美枝「はあ~ やりましたね!」
茂「それだけじゃないぞ。 テレビ化と併せて 9月からは 月刊誌で 『鬼太郎』の漫画連載が スタートだ!」
一同「お~っ!」
茂「また 忙しくなるぞ!」
光男「みんなで頑張らないとな。」
2人「はい!」
茂「10月に向けて ばく進だ!」
一同「はい!」