連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第17話「たった五日で花嫁に」

飯田家

ミヤコ「ほんとに 当座のものしか 入れられんね。 着物は 前に作ったもんばっかりやし。」

布美枝「ええよ 東京には 暁子姉ちゃんしか 知り合いおらんし 着ていく先も ないかもしれんしね。」

ミヤコ「暁子 結婚式には 出れんけど あんたが東京に来たら 力になる言うとったよ。」

布美枝「心強いけど 姉ちゃんも 自分の家庭があるけんね。 どげしたの?」

ミヤコ「まさか あんたを 東京にやるとは 思わんかった。 うちで 一番 長い事おった娘だけん。 嫁に行っても いつまでも近くにおって いつでも会える。 そげ思うとった。」

布美枝「お母さん…。」

ミヤコ「私が いけんかったねえ。 あんたが 家のために 一生懸命 やってる事を当てにして…。 もっと 早こと嫁に出しとったら 近くに ええご縁が あったかもしれんのにね。」

布美枝「そげな事 言わんで。 いやいや 嫁に行く訳じゃないんだけん。」

ミヤコ「そげだね。 おかしな事 言って ごめんね。 愚痴だわ。 お母さんの愚痴。 近くにおったら してやれる事も 東京に行ったら 何もしてやれん。」

布美枝「…お母さん。」

ミヤコ「これ 少し地味かもしれんけど。」

布美枝「これ お母さんが縫ってくれたの?」

ミヤコ「そげだよ。 青海波の波の模様には 日々の暮らしが 静かな海のように いつまでも続く いう意味があんだよ。」

布美枝「いつ縫ったの? 夜なべしたの?」

ミヤコ「何枚も 何枚も 持たしてやりたかったけど…。 結局 一枚しか作れんかった。」

布美枝「無理したら また リューマチ出るよ。」

ミヤコ「うん。」

布美枝「痛くなっても もう お灸 据えに あげには 来られんよ。」

ミヤコ「人の心配は ええけん。」

(すすり泣き)

ミヤコ「体に 気ぃつけてな。 元気で いなさいよ。 ね!」

布美枝「ありがとう。」

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