連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第17話「たった五日で花嫁に」

村井家

居間

絹代「『仕出し料理の手配』は これで済んだし。『しげさんの貸衣裳』も 頼んだしと。 あ! 松江のおじさん 婚礼に来る 言ってましたか?」

修平「いや 来られんそうだ。」

絹代「早こと 言って下さいよ。 料理を1つ 減らさにゃ いけん。 雄一達は 来れんし 光男が来て…。 あ! 米子のおばさんは 大丈夫ですかね?」

修平「う~ん。」

絹代「もう! 新聞ばっかり 見とらんで ちっとは 協力して下さい!」

修平「お前が 全部 仕切っとるんだ。 わしが 口を出す事は なかろう。」

絹代「うん!(舌打ち) 茂は 何 しとるんですか! ほんとに もう 自分の婚礼だというのに!」

修平「部屋で 漫画の構想を練っとるんやろ。 アイデアに苦しんどるけん 幾つか ストーリーを提供してきたわ。」

絹代「あんたのアイデアなんぞ 茂の役に立つもんだろうか?」

修平「わしの ここには 古今東西の映画 歌舞伎 落語に文学 あらゆるストーリーが 詰まっておるのだぞ。 アイデアは 湯水のように 出てくるわ。」

絹代「一文にもならんもんに お金を つぎ込んできたんですけん 茂の役に立ってもらわんと 元が取れません! あ~! 忙しい 忙しい!」

修平「東京では 通勤ラッシュで けが人が出とるのか。」

<修平は 昔から 映画や芝居が大好きで かつては 自分で 映画館を 開いた事もあるほどです>

2階

茂「うん… 『吸血鬼』 『ハムレットのおやじの幽霊』 『人造人間』…。 どれも 使い古されとるなあ。」

<茂の周りには いつも 修平が愛読する 映画や 芝居の雑誌がありました>

絹代「しげさん! 仕事しちょ~かと思ったら のんきに 寝てござるわ!」

茂「うるさいなあ! 今 考えとるとこだけん ほっといてくれ。」

絹代「これ 式の時の下着と靴下 一そろい 新しいの買ってきた。」

茂「どうせ 貸衣裳を着るんだけん 中は 何でも分からんだろうが。」

絹代「何 言ってるの! 男は ここ一番という時は さらしを 一本 切って 新しいフンドシを 締めるもんだわ!」

茂「戦に行く訳でもあるまいし。」

絹代「花嫁を見てごらん。 みんな 帯に 懐剣を挟んどるでしょう。 婚礼いうのは 戦に行く覚悟でするもんだ!」

茂「それにしちゃ ご都合主義の急展開だな。」

絹代「息子に 古い下着を着せて 婚礼させるような 恥ずかしいまねは できんけん やせても枯れても 名字帯刀御免の家から 嫁いできたんだけんね!」

<母 絹代の自慢は 実家が 名字帯刀を許された 大庄屋だった事でした>

絹代「破れとるわ 縫うけん 脱ぎなさい。 ほれほれ!」

茂「後でええ。 脱いだら寒い。」

<もっとも 村井家に嫁いできた頃には 名字帯刀御免の家は すっかり 没落していたようです>

絹代「これ!」

茂「ん? あっ! 昔 俺が描いとった絵 よう 残っとったなあ! ハハハ! 戦争中の建物疎開で みんな なくなったと 思っとったのに。 はあ~ ハハハ! こんな絵 よう描いたわ!」

絹代「暇さえあれば 絵ばっかり 描いて。 あとは けんかしちょ~か 食べちょ~か。 勉強しとるとこは 見た事がない。」

茂「あ! これ。 昔 寺で見た地獄絵だ。」

絹代「ああ 気味悪い。 あんた 昔から こげなものが 好きで 変わっとったわ。」

茂「あ! 主人公が気づかんうちに 地獄をさまよっとるいう話は どげだろう。 うん。」

絹代「しげさん 靴下 ほら しげさん!」

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