飯田呉服店
源兵衛「ああ お師匠さん。 お針の稽古は 終わりましたかね?」
「え?」
飯田家
居間
源兵衛「ユキエは どこへ行った?」
ミヤコ「裁縫でな~ですか?」
源兵衛「そこで お針のお師匠さんに 会ったわ。 今日は休みでねか。」
ミヤコ「あらら~。」
回想
ユキエ「お父さんには 内緒にしといて。 約束だよ!」
回想終了
源兵衛「あの おてんばが! 親に しら~っと嘘ついて。」
ユキエ「ただいま! ただいま戻りました。」
玄関
源兵衛「どこへ行っちょった? 裁縫は休みでねか。 どこ ほっつき歩いちょった?」
ユキエ「あの… え~っと。 ごめんなさい! 裁縫 お休みなの 忘れてました でも せっかく家を出たけん ちょっと出かけようと思って町まで。」
源兵衛「町に何しに行った?」
ユキエ「買い物とか… ほら。 フミちゃんのリボン。 前から 頼まれちょったけん。」
布美枝「え…?」
源兵衛「だらず! 裁縫がないなら 戻って 家の手伝いせい! 町 行くなら行くで ちゃんと親に言ってから行け!」
ユキエ「すみません。」
源兵衛「もうええ! 飯にしぇ。」
ミヤコ「あんたは もう…。」
ユキエ「失敗。」
縁側
ミヤコ「後で よく言って聞かせますけん。」
源兵衛「誰かと 一緒だったかいな。」
ミヤコ「え…?」
源兵衛「早こと 嫁に出した方が ええかもしれんな。」