水木家
玄関前
(布美枝と音松の談笑)
回想
浦木「借金の山で 身動き取れなくなった音松が 東京の知り合いを回って 借金を申し来んで歩いとる。」
回想終了
居間
茂「ただいま!」
2人「お帰りなさい!」
布美枝「遅かったですね。」
茂「うん。 おう! カレーのにおい。」
布美枝「すぐ 温めますね。 今 『河童の三平』の話 聞いとったんですよ。」
茂「『河童の三平』か…。」
音松「そうそう。」
茂「あれも 長編で 80巻くらいは 描いたかなあ。」
音松「人間の子供と河童の子供が 仲よくなる ユーモラスで いい話でした。」
茂「あれは 自分の子供の頃の事を 織り交ぜて描いとったですからな。」
布美枝「そういえば 裏の川に 河童が 住んでるって 言っとりましたね」
茂「ああ 昔から 河童に縁があるんだ。」
布美枝「河童の紙芝居か… どんなだったのかなあ?」
茂「あ ちょっと 待っとれよ。 ほれ!」
布美枝「うわ! かわいい!」
音松「いや~ 懐かしいなあ! これやると 子供達 喜んで キャッキャッと 笑うんですよねえ。 もう一度 こんなのやりたいなあ。 水木さん あの… 実は ちょっと お願いがありまして。」
茂「はい。」
音松「その…少々…。」
茂「はい。」
音松「少々…。 しょうゆをかけると おいしんですよね? カレーは。 ハハハ!」
布美枝「あ! しょうゆですね はい すんません 気づかんで。」
2階
音松「(ため息) 明日には なんとか頼まんと どうにもならんなあ。」