村井家
絹代「お父さん えらい事ですわ! こげなー大事に 何を のんきに 鼻毛なんぞ 抜いとるんですか。」
修平「どげした? 総理大臣でも訪ねてきたか?」
絹代「だら言って。 できたんですよ!」
修平「何が? 畑のナスビか?」
絹代「ああ もうっ。 子供です!」
修平「え?」
絹代「しげさんとこに 子供が生まれるんです!」
修平「そげか! 男か? 女か?」
絹代「まだ 分かりませんわ。 生まれるのは 半年先ですけん。」
修平「茂の奴 40過ぎて おやじになるか。 人より ゆっくりしとるとこが あいつらしいわ。」
絹代「さあ こうしちゃおられん。」
修平「え?」
絹代「私 行ってきます。」
修平「どこへ?」
絹代「東京に決まっとりますが!」
修平「ああっ?!」
絹代「茂は あてにならんし 布美枝さんも のんきですけんね。 妊婦の心得や お産の準備やら 私が教えに行かんと。」
修平「待て! 待て! 待て!」
絹代「ええっ?」
修平「お前が そばにおったら 布美枝さんが 気ぃ遣って かえって 体に悪いわ。」
絹代「けど…。」
修平「どこのお屋敷だと思っとる。 あげな小さな家で 泊まる部屋も な~だぞ。」
絹代「それは そうですけど…。 ほんなら まず手紙を! 色の濃い野菜 小魚は たくさん 食べるように…。」
<大塚の実家の母 ミヤコからは 岩田帯が送られてきました>
水木家
居間
ミヤコ✉『大神宮さんで 安産の ご祈祷をして頂きました。 5か月目の戌の日に巻いて下さい。 くれぐれも 無理せんように。 家族みんな 布美枝と お腹の子の 健康を祈っております』。
<布美枝 みんな 楽しみにしちょ~よ>