連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第5話「ふるさとは安来」

神社

信夫「見合いの日取りも決まらんのに ずうずうしいかも しれんけど 卵やら芋やら ちっとばかし 持ってきたんだわ。 みんな うちの畑で採れたもんだけん。 あ いや 食べ物で 気を引こうとは思っとらんよ。 ま ちっとは その気もあるかな。」

布美枝「姉は おらんです。」

信夫「どっかに お出かけかね?」

布美枝「ず~っと 出とります。」

信夫「いつ 戻られるかね?」

布美枝「分かりません。 あの…。」

信夫「ん?」

布美枝「見合い やめて下さい! 姉との見合い 諦めて下さい うちにも 來んで下さい。 頼みますけん このまま 帰って下さい。」

信夫「なして そげな事 わ~に 言われにゃならん? 大体 子供が 口を出す話では なかろうが。」

布美枝「けど 困るんです。 このまま 姉ちゃんが帰ってこんかったら。」

信夫「どういう事だ?」

布美枝「ほんとに困るんです。 うちの中 ずっと お通夜みたいだし。 私がいらん事したけん こげな事になって どげしたらええか分からん。」

<その夜 仲人さんが 横山家が 見合いを断ってきた事を 伝えにきました>

飯田家

登志「早こと 安来に知らすとええわ。」

ミヤコ「はい。」

登志「これで ユキエも戻ってくるだろう。」

ミヤコ「でも おかしな話ですわ。 急に 断り言ってくるなんて。 この間も 話 進めてくれと 催促があったんですよ。」

登志「他に ええのが見つかって 乗り換えたんだろう。」

ミヤコ「はあ。」

登志「とんだ だらず男かもしれんな? 嫁に出す前に分かって かえってよかったが。」

ミヤコ「そげですね。」

源兵衛「もうええ! 済んだ事 ぐだぐだ言うな! わしの見込み違いだったか。」

<縁談は 横山が 一方的に 断った事になっていまし。 布美枝が頼んだ事を 横山は 言わずにいてくれたのです>

布美枝「よかったんだよね? これで。 姉ちゃんが戻ってくるんだけん うちが 元どおりになるんだけん よかったんだよね?」

<けれど 横山の 優しそうな笑顔を思い出すと 布美枝は 胸が痛くなるのでした>

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