玄関
布美枝「は~い。」
美智子「こんにちは。」
布美枝「美智子さん。」
美智子「靖代さんから聞いたわよ。 塩抜きでも おいしい料理 作ってきた。」
台所
布美枝「私 やります。」
美智子「大丈夫。 いいから座ってて ね。 妊婦さんは 安静にしてる事 はい。」
布美枝「はい。」
美智子「太一君 それ ちょっと取ってくれる?」
太一「はい。」
美智子「あのね 塩の代わりに 出し汁と お酢で味を調えると いいわ。 そうそう… これこれ。 減塩料理のメニュー 幾つか 考えてきたら 試してみて。 ね。」
布美枝「美智子さん…。」
美智子「大丈夫よ。 自信を持って。 きっと 無事に産まれるから。」
布美枝「はい。」
美智子「うん。」
靖代「美智子さん 来てる~?」
美智子「は~い。」
太一「あ 俺 行きます。」
布美枝「すみません。」
徳子「あ~! 太一君も来てたんだ。 お邪魔します。」
和枝「お邪魔しま~す。」
布美枝「どうしたんですか?」
靖代「ちょっと お届け物。 これねえ おむつ。 お古なんだけどさ 新品よりもね 柔らかいし これが また よく吸うのよ!」
徳子「こっちは バーバーの使い古しのタオル。」
和枝「それと ベビー服のお古。」
靖代「嫌だ 何だか ボロばっかり。 いらない物を持ってきた みたいじゃないのよ! アハハハ。」
徳子「ほんと 古いもんばっかりで 気が引けるけどさ~。」
和枝「その分 気楽に使えるからね。」
布美枝「こんなに頂いて…。」
和枝「だから 気にする事ないって。 余った物の寄せ集めなんだから。」
靖代「そうそう。」
布美枝「ありがとうございます。」
靖代「あんた 何言ってんのよ いざっていう時は 『遠くの親よりも 近くの知り合い』 って言うんだよ。 ね~。」
徳子「そうそう 分からない事があったら 何でも聞いて。」
太一「あ 俺も 荷物運ぶとか そういう時は 手伝いに来ます。」
和枝「あら 頼もしいじゃない!」
美智子「ね みんなで応援してるから 安心して。」
布美枝「…はい。」
茂「あれ。 お歴々が おそろいで。」
美智子「先生 お帰りなさい!」
茂「どげしました?」
布美枝「いろいろ 届けて下さったんです。」
茂「これは助かるな…。 お世話になります。」
戌井「お邪魔します。」
布美枝「戌井さん!」
茂「出版社で ばったり会ったんだ。」
戌井「奥さんに お渡ししたいものがあって。 あの これ。 よいしょっ。」
徳子「ああ!」
美智子「犬張り子。 安産のお守りね。」
一同「う~ん。」
靖代「あんた 男のくせに 気が利くじゃないのよ。」
戌井「いや~ 女房に教えられたんです。」
布美枝「ありがとうございます。」
戌井「いえいえ。」
美智子「ねえ 布美枝ちゃん。 いつも 明るく のんきにしてなきゃね。」
布美枝「はいっ!」
<美智子達の励ましが 何よりの薬になって 年明けの出産予定に向けて また 勇気が わいてくる 布美枝でした>
<それから しばらく経って…>