連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第83話「旅立ちの青い空」

田中家

和田「こんな事 言いたくないんだけどね。 騒ぎを起こされたら 困るんだよ。 警官まで 来たっていうじゃないの?」

美智子「すいません お騒がせして。」

和田「言っちゃなんだけど 店 火の車なんでしょう? いったん お客さん 離れちゃうと 持ち直すの きついよ。 貸本屋は どこも苦しいって 言ってるし いっその事 商売替えしたらどう?」

美智子「いえ それは…。」

和田「ま とにかく 地代の方 よろしく頼みますよ。」

美智子「はい。 ご迷惑をおかけしまして。」

和田「いえ…。」

こみち書房

美智子「子供が来なくなると この商売は ダメねえ。 地代の値上げも 待ってもらえそうにないし。」

政志「ばあちゃんは?」

美智子「病院。 リューマチの薬 もらいに行ってる。」

政志「ああ。 ちょっと出てくるわ。」

美智子「ねえ どうしたらいいかな?」

政志「何だよ?」

美智子「聞こえてたでしょ。 地主さんの話。」

政志「ああ。」

美智子「今の店の売り上げじゃ 地代の 値上げに 追いつかないのよ。」

政志「やめちまえよ。」

美智子「え?」

政志「やればやるほど 赤字なんだろ? だったら やめちまえよ 貸本屋なんか。 今あるもん 全部 売っ払って アパートにでも 越しゃいいや。」

美智子「何で 簡単に言うのよ! やめろなんて 何で そんな事 軽く言うのよ! ここやめたら 何が残る?」

政志「うるせえな 俺に絡むなよ。」

美智子「だって そうでしょう? ここがあったから 今まで やってこられたのよ。」

政志「悪かったな 稼ぎの悪い亭主で。」

美智子「そんな事 言ってるんじゃないわ! この店があったから 町の人や 子供達が集まってくれて みんなで 笑ったり 泣いたりできた。 だから やってこられたの。 ここがあったから。」

美智子「あなた 私にも 自分の人生にも 背中 向けたままじゃない。 私を許さず いつだって 背中で私を責めてる。 そんな人と どうやって 暮らせばよかったのよ。 ねえ なんとか言ってよ!」

政志「出てくる。」

美智子「おしまいなのかなあ…。 店も… 私達も。」

水木家

居間

布美枝「美智子さん 大丈夫かな…。 何も力になれん。」

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