(犬のほえる声)
布美枝「あ… 藍子?」
(犬のほえる声)
茂「おい 藍子は?」
(藍子の泣き声)
政志「あっち行け!」
布美枝「藍子?!」
(藍子の激しい泣き声)
玄関前
布美枝「藍子!」
(犬のほえる声)
政志「大丈夫だ! ほえられて 泣いてるだけだ。 かまれちゃいねえ。」
布美枝「よかった…。」
茂「あんた…。」
布美枝「どうして… ここに?」
こみち書房
キヨ「ただいま。 病院 込んでて 随分 待たされたよ。 …あれ? 美智子 奥かい? 美智子?」
水木家
居間
布美枝「本当に ありがとうございました!」
政志「いいって 何度も頭下げなくて。」
布美枝「いつの間にか 勝手に外に出ていて。」
政志「目ぇ離すと 子供は どこにでも行っちまうから。 気をつけねえと。」
布美枝「…はい。」
政志「さっき… うちで 変な話 聞かせちまって。」
布美枝「美智子さんとは?」
政志「…戻りにくくてさ。 あんな事 あいつが言ったの 初めてだから。 うろうろしてる間に ここに来ちまった。 もう一遍 先生と話してみたくてさ。 前に言ったろ? 好きだから 漫画 描いてるって。」
茂「ええ。」
政志「でもよ… もし 漫画が 先生を追い詰めたら どうする? 漫画のせいで 仲間から裏切られたら?」