連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第86話「チャンス到来!?」

玄関

布美枝「どうしたんですか? うちにも 顔 見せてくれんし 何か あったんじゃないかって 昨日も 浦木さんが心配して…。」

はるこ「別に 何もないです! 漫画 描くのが忙しくて 店 辞めただけで。」

布美枝「そげなら ええですけど…。」

はるこ「私 これで。」

布美枝「あっ あの…! 余計な お世話かもしれんけど 何か 困った事が あるんじゃないですか? 話を聞くくらいなら できますけん よかったら うちで 一緒に ご飯でも…」

はるこ「余計な お世話です。」

布美枝「えっ…。」

はるこ「布美枝さんに話したって しかたがないです。 漫画 描いてる人間の気持ち 布美枝さんに 分かるんですか? そばに いるだけでしょ? 布美枝さんは 先生のそばにいて 見てるだけじゃないですか。 自分で苦しみながら 漫画を描いてる訳じゃない!」

布美枝「それは…。」

はるこ「失礼します。」

編集部

布美枝「どげしたんだろう? あ… すいません! ちゃんと ご紹介もせんまま。」

深沢「いや 名前 見て すぐ分かったよ。 水木ファンの詩人だなって。」

太一「あ… 詩人だなんて…。」

深沢「どうぞ。」

布美枝「すんません。」

深沢「彼女 どうした?」

布美枝「帰ってしまわれました。 私 何か いらん事 言ったようで。」

深沢「いや 奥さんのせいじゃないです。 私が 作品について ズケズケ 言ったから。 これ 面白いですよ 『シリウス』。 彼の詩 荒削りで素朴だけど 何だか 心を打つね。 詩が好きかい?」

太一「はい!」

深沢「書く事が好きかい?」

太一「はい!」

深沢「それじゃあ どんどん書くといい。 技術は 後から ついてくるから。」

太一「はい。」

深沢「漫画も詩も 好きという気持ちが 一番 大事だからね。 彼女も そこから スタートしたはずなんだが。」

布美枝「はるこさん どうかしたんですか?」

深沢「まあ 焦る気持ちも 分からんじゃないんだ。 デビューして もう3年になるから。」

郁子「全然 違うわ。」

深沢「ん?」

郁子「この漫画家さん まだ二十歳の 女性なんですけど とても斬新で。 さっきの方のは 何だか 人気漫画家の 写しみたいでしたから。 残酷なもんですね 才能って。」

深沢「いや 彼女も いいもの持ってるよ。 そう捨てたもんでもない。 ちょっと 気持ちを入れ替えりゃいいんだが…。 この本 『ゼタ』の新刊紹介に 載せてもいいかい?」

太一「もちろん! お願いします!」

深沢「幾らか売れるとは思うけど 連絡先は どうする?

太一「じゃあ 僕のところで。」

深沢「じゃあ 住所を書いてもらえる?」

太一「はい。」

太一「まだ 布美枝さんに 言ってなかったけど…。」

布美枝「何?」

太一「俺 引っ越すんです。」

布美枝「え?」

太一「工場が厚木に移転するんで で 社員寮も その近くに。」

布美枝「いつですか?」

太一「来週には。」

布美枝「太一君も いなくなるのか…。」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク