連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第90話「チャンス到来!?」

居間

布美枝「なしてだろうか…。 お父ちゃん 勝負 諦めてしまったのかな…。」

茂「おい そう がっかりするなよ。 俺は 諦めた訳ではないぞ。」

布美枝「お父ちゃん…?」

茂「うん。 戦わずして 勝負を降りた訳じゃないぞ。 これは 大きなチャンスだ。 だが… 失敗の許されん 大勝負でもある。」

布美枝「はいっ。」

茂「自信を持って 『これは』というもんで 勝負せんと負ける。 負けたら 終わりだ。」

布美枝「終わり…。」

茂「貸本から雑誌に移る時に 注文に合わせて 苦手なもんを描いて失敗した 漫画家を ようけ知っとるんだ。 実力を発揮できんまま 消えてしまった。 さっきな 貧乏神が にんまり笑っとったんだ。」

布美枝「え? 貧乏神…?」

茂「うん。 あいつの顔を見て 俺は ピンと来た。 『苦手なもんで 勝負したら いけん。 失敗したら 貧乏から 脱出できなくなる』。 ん? お前 俺の頭が どうかしたと 思っとるのか?」

回想

回想終了

布美枝「いいえ…。 確かに 何か おるなあって 私も思っとったんです。 あれが 貧乏神だったんですかね?」

茂「うん。 前ほど のさばっておらんがな まだ おるんだ。 今日 来た男は 俺の漫画を よう読んどって 本気で 描かせたがっとった…。 だけん チャンスは きっと もう一度 来る。 勝負懸けるのは その時だ!」

布美枝「もう一度 来ますかね?」

茂「来る。 必ず来る! カステラは この砂糖が ザラッとなっとる 底のとこが うまいな。」

<『もう一度 チャンスが来る』という 茂の言葉を 布美枝は 信じようと思いました>

<それから しばらく経って…>

仕事部屋

(蚊の飛ぶ音)

茂「ああ 蒸し暑いなあ…。」

布美枝「♬『埴生の宿も わが宿』」

豊川「奥さん こんにちは。 いや~ 暑いですねえ。 すいませんが 水を 1杯 頂けますか?」

<それは 梅雨の初めの ひどく 蒸し暑い日の事でした>

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