布美枝「この子が テレビの中を 自由に歩き回るのかあ。」
テレビ「男『おいしすぎて ギョッとしちゃう。 ギョギョ!』。」
布美枝「あれ?」
テレビ「男『朝 昼 晩 一日3回だって 食べてたいなあ。 うれしい時は ハルちゃんラーメン』。」
布美枝「あ… 『テレビくん』だ!」
テレビ「男『あ~ うまい!』。」
テレビ「女『大江戸製菓のドーナツ。 チョコレート味 出たよ!』。 『ひろし君にも 教えてあげなきゃ!』。」
布美枝「うわっ?!」
布美枝「あんた いたずら好きだねえ。」
<梅雨も 終わりに近い 雨の日でした>
布美枝「『テレビくん』 しっかり!」
豊川「『テレビくんの ひみつは この町じゃあ ぼくしか 知らないんだ』か…。」
豊川「なるほどなあ。 大変 結構です。 原稿 ちょうだいいたします。 ありがとうございました。」
布美枝「やった!」
豊川「『テレビくん』 いいですよ。 かわいくて 愛きょうがあって ちょっと とぼけた顔が 先生らしいですね。」
茂「うん。」
豊川「それから 貧乏の中で頑張っている 新聞少年の三太。 この子が いいなあ。」
茂「貧乏の話は 描いていて 力が入るんです。 なにしろ よう知ってますから。」
豊川「貧しい子供の現実。 これがあるから 不思議な世界に 憧れる思いが 強く迫ってくるんですよね。」
茂「子供の読者に ちゃんと 伝わりますか?
豊川「もちろんです。 子供達こそ この漫画の一番の理解者ですよ。 先生… 早速ですが… どうでしょうか? 次は 『週刊少年ランド』の本誌に 描いて頂くというのは?
茂「は?」
豊川「まずは 読み切りの短編で。 こちらからのお願いは 一つだけです。 奇想天外な戦いのシーンを入れて下さい。」
茂「う~ん。」
豊川「読者を引き付ける 奇抜で インパクトのある戦いの場面を 16ページの中に織り込んで頂きたい。 毎月1本ぐらいのペースで 始めてみませんか?」
茂「一つ 描きたいものがあるんですが…。」
豊川「何でしょう?」
茂「『墓場鬼太郎』をやらせて下さい!」
布美枝「『鬼太郎』…。」
豊川「やっぱり そう来ましたか! 実は 私も 『鬼太郎』を お願いしたいと思っていました。 早速 編集会議に諮る事にします。」
茂「ええ。」
<『鬼太郎』に どうやら 再び チャンスが やってきそうです>